カエル分数ゲーム『Frog Fractions 2』 ブラウザ生まれの異色作続編
毎週インディーゲームの最前線から未来に輝くかもしれないタイトル達を筆者 ishigenn がピックアップしていく【Indie of the Week(IotW)】。2014年3月も終わりが近づき、そろそろオタマジャクシが孵化するシーズンへと移行し始めた第25回目は、カエル分数ゲームの 続編タイトル『Frog Fractions 2』をご紹介します。なおこの記事は初代『Frog Fractions』のネタバレを多分に含んでいるのでご注意ください。前作は無料のブラウザゲームであるため、ひとまずそちらからプレイしてみることをおすすめします。
『Frog Fractions』とは2012年に Twinbeard Studios が放ったブラウザーベースの無料ゲーム。カエルを操作して虫を食べ、フルーツを集めてカエルをアップグレードしていこうという学習ゲームのような内容でスタートし、一見よくあるカジュアルなブラウザ学習ゲームの雰囲気をまとっています。
ところが本作、フタをあけるとまるで開発者が見た悪夢をそのままゲームにぶちこんだような魔境です。アップグレードで取得したドラゴンに乗った辺り からゲームの空気感は徐々に変化し、盲点を突くフルーツの回収方法でプレイヤーのド肝を抜いたのも束の間、ゲームはワープドライブで飛び込んだアステロイ ド帯を突き抜ける宇宙 STG へと様変わり。この時点でカオスフルな内容ながら、『Frog Fractions』の魔境ワールドはまだ序盤も序盤です。
虫の星こと Bug Mars では選択肢式のアドベンチャーゲームで入国ビザを手に入れ、海の中に潜り込んでボクシングの歴史についてのボイスナレーションを聞き、さらに海底で見つけ た宇宙船を使用したテキストアドベンチャーで帰還します。議会で『ダンス・ダンス・レボリューション』クローンをプレイし主人公のカエルが大統領に当選、 「虫ポルノ」を販売するシミュレーターをプレイする、そしてクリア。これが『Frog Fractions』の全てとなります。
Twinbeard Studios が放った『Frog Fractions』は、説明やチュートリアルがないままあまりにも取り留めのない世界観が強行進軍していく、言わばニコロデオンのテレビアニメ『レンと スティンピー』、あるいは漫画『ボボボーボ・ボーボボ』の精神を持つゲームです。開発者の暴走する世界観にプレイヤーがただただ圧倒される、そんな問答無 用の手法に筆者含む一部のゲーマー達は惚れこんでしまいました。
さてそんな Twinbeard が本気か嘘か Kickstarter にて『Frog Fractions 2』のクラウドファンディングキャンペーンを目標額6万ドルに設定し開始しました。
「教師たちに分数のことを聞けば、我々のヒットゲーム『Forg Fractions』のおかげで人類文明は分数を制覇したと説明するだろうが、今日の子供たちはさらなる困難に直面していた、『分数2』だ。16世紀ポル トガルの数学者 Pedro Nunes によって発見されたこれら「余計な分数」は2倍強くて2倍難しいのだ。『分数2』がなければ、君たちの子供は4分の16分の1カップのナトリウムデミカー ボネイトを測るレシピも覚えられず、4分の1セント硬貨の『Frog Fractions 2』サウンドトラックを買うことも出来ない!」
と伝える彼らは、学習ゲーム『Frog Fractions 2』によって再び我々が分数に打ち勝つよう呼びかけ。Kickstarter ページでは、ジュリア集合からドラゴン曲線までを描く石板「Frog Fractals」収録の限定版「Big Box」や、ロサンゼルスの学校でアートの授業を週1で教える変わりに実験で使用したカエルの一部を貰い、美術館でアーティストとコラボレーションし 「Frog Fractions」展示会をやるという冗談も飛びかっています。
そんな中、『Frog Fractions 2』自体はその性質上ディテールを語ることがイコールネタバレとなってしまうため、その詳細な内容は語られていません。現時点で判明しているのは1980 年代のゲームをフィーチャーしていること、『Frog Fractions 2』との名前では登場しないこと。さらに多数のシークレットが隠されており、クリア後にはダウンロードコード形式の「The Jig」なる特典が登場することだけです。
Kickstarter でのキャンペーンもその圧倒的な世界観で覆ってしまった『Frag Froctions 2』は、現地時間の4月10日までクラウドファンディングを継続中。果たしてどんな代物が登場してしまうのか気になったユーザーは、魔境から悪魔を降臨す る気構えで Pledge してみましょう。