住民に”乗り移って”町を探索するオープンワールド型ホラーアクションADV『Affliction』怪物から逃れつつ物語の真相を追う

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第176回目は、『Affliction』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第176回目は、『Affliction』をピックアップする。『Affliction』は1950年代に存在した架空の町を舞台とするアクションアドベンチャーゲームだ。静止した住民たちが住む不気味な町を舞台に、プレイヤーは怪物から逃がれ、物語の真相を追うことになる。

住民たちが静止した町でなにが起きたのか?

『Affliction』の物語は、プレイヤーが小さな町「Warden Cliffs」の著名な後援者から依頼を受ける場面より始まる。この小さな町では謎の”死の病”が蔓延している。病気の詳細は明らかにされていないが、感染した者はみなマネキンのように固まり、顔無しとなり手足に火傷のような傷跡を負うようだ。プレイヤーはこの町を探索して、なぜこのような病気が広がったのかを突き止めなければならない。ゲーム中には「リーパーズ(Reapers)」と呼ばれる3メートルほどの闇のクリーチャーが登場し、プレイヤーはゲーム序盤からこの怪物に襲われることになる。

本作で面白いのが、プレイヤーが死亡した場合、その魂が近くの住人の身体にランダムで乗り移るという点だ。この町には男性から女声、子供から老人まで様々な住民たちが存在している。プレイヤーが乗り移った先によって、身体的な能力や特徴、そして制限も変化するという。今月公開されたアナウンストレイラーでは、死亡したプレイヤーの魂が街なかをさまよい、女性へと乗り移ってリーパーズと戦う一連のシーンが確認できる。

また興味深いのが、本作が単なるクリーチャーとの追走劇を描くだけでなく、「オープンワールドのナラティブゲーム」を目指しているという点だろう。開発のMastermind Gamesは、『Gone Home』や『The Vanishing of Ethan Carter』、『Everyone’s Gone to the Rapture』といった作品を例に挙げ、そういったゲームにさらにアクション要素を加えたタイトルであると『Affliction』が目指す先を説明している。

「ナラティブ・ゲームは驚異的だ。私は大ファンだよ。ただよくある不満として、そういったゲームは十分にインタラクティブではないんだ。同様に、アクション偏重のゲームは常にストーリーの深みに関して不満が寄せられてきた。『Affliction』にて、私は2種類のジャンルを結婚させたいと思っている。大興奮のアクションがありつつも、素晴らしいストーリーを伝えるんだ」

『Affliction』の小さな町には様々な秘密や記憶が登場するが、本作ではそれらをどれだけ見つけたか、そして後援者に何度伝えることができたかによって、物語の結末が変化するという。すべての謎を解き明かさなければトゥルーエンドには辿り着けない、というのがアドベンチャー系ゲームの王道だが、開発陣は「物語の真相を追うという任務はたいした問題ではない。なぜならどれだけ真相を解き明かすかは、君次第だからだ」と伝えている。

『Affliction』は2016年中にPC/MacおよびXbox Oneにてリリース予定だ。まだ詳細なゲームプレイやプレイ映像も登場しておらず、肝心のクリーチャーであるリーパーズがそれほど怖くないなど不安な面もある本作だが、マネキンと化した住人たちがたたずむ奇妙な町の雰囲気は抜群に良い。今後の続報に期待したい。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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