冷戦下CIAの暗殺者育成計画を描く対戦ステルスアクションFPS『Red Awakening』

本作はマルチプレイヤー対戦型のステルスアクションFPSだ。冷戦下のCIAの極秘実験をテーマとした独自の世界観や、パルクールを取り入れたハイスピードなステルスアクションが特徴となっている。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第95回目は、『Red Awakening』を紹介する。本作はマルチプレイヤー対戦型のステルスアクションFPSだ。冷戦下のCIAの極秘実験をテーマとした独自の世界観や、パルクールを取り入れたハイスピードなステルスアクションが特徴となっている。ゲームエンジンはUnreal Engine 4を採用。グラフィックはそこまでリッチではないが、プレイシーンをまとめたモンタージュトレイラーでは、映画『プレデター』を思わせるようなゲームプレイを見ることが可能だ。

 

 

東西のチームに分かれ完璧な暗殺者を目指す
東西のチームに分かれ完璧な暗殺者を目指す

『Red Awakening』では、1970年代中盤にベトナム戦争を終え、冷戦で恐怖と混乱に陥っていったifの米国が描かれている。本作の米国では、暴徒と化した若者たちをマインドコントロール下に置き、さらに共産圏の脅威に立ち向かうため、CIAがコードネーム"Red Awakening"なる極秘計画を進めている。この計画は、暴徒と化した米国の若者と、死刑判決を受けたソビエト連邦のエージェントを訓練して競わせ、米国の敵を倒す完璧な暗殺者を育て上げるというものだった。CIAの極秘施設に連れ込まれたプレイヤーたちは東と西のチームに別れ、生き延びるために敵に打ち勝たなければならない。

ゲームは5vs5で戦うクラス制のチーム対戦型マルチプレイヤーFPSである。チームごとに異なるキャラクターが所属しており、東側のチームには東欧諸国のスパイや暗殺者5人が、西側のチームは暴徒と化した米国の若者たち5人が所属している。幼少期のトラウマでサイコパスと化したマチェーテ殺人鬼「The Jock」や、暗黒街のボスを無残に殺害した謎の少女「The Geek」など、世界観に負けない個性豊かなキャラクターたちが登場するようだ。

極秘施設にて両チームは、ただ殺し合うだけではなく、任務を遂行することでも勝利することができる。「Dual Demolition」は、ラウンド毎に1人3回までのリスポーンが認められたゲームモードだ。各プレイヤーには1つの爆弾が与えられ、敵チーム側の2箇所の施設を爆破するか、あるいは敵チームを全員3回キルし殲滅すれば勝利となる。「You Only Live Thrice」は各チームに15回のリスポーンが認められたモードで、相手チームを殲滅すると勝利、またはタイムアップ時に残ったリスポーン可能回数が多いチームが勝利となる。

 

ステルス迷彩スーツも登場する。ゲームプレイは映画『プレデター』からの影響を色濃く感じさせる
ステルス迷彩スーツも登場する。ゲームプレイは映画『プレデター』からの影響を色濃く感じさせる

 

ハイスピードなステルスアクション
ハイスピードなステルスアクション

本作の特徴の1つが、ゲームのHUDが一切存在しないという点だ。代わり各プレイヤーには、『プレデター』のブレードと『Fallout』のPip Boyを組み合わせたような装置「アームモジュール」が支給される。この「アームモジュール」は、近くの敵を切り裂くほか、周囲の音と動きを検知して表示するレーダーが備えられており、敵の位置を探りだすことができる。

さらには本作には、パルクールをもとにしたさまざまな移動アクションも用意されており、通常のステルスアクションには無いスピーディーな暗殺シーンが展開される。敵のレーダーに検知されないよう高所や暗闇にじっと身を潜め、敵が現れたら凄まじいスピードで急襲する、映画『プレデター』のような一幕が楽しめるようだ。

なおゲーム中には「アームモジュール」だけでなく、レンガブロックやレンチ、各種銃器からチェーンソーまで、さまざまな武器が登場する。またナイフなどだけではなく、全ての武器を敵プレイヤーに投げつけることができるという。このほか対戦マップ中には、処刑アクションを盛り込んだオブジェクトも備えつけられている。

『Red Awakening』の開発は、12人のメンバーが所属するスタジオDomino Effect Ltdによって進められている。すでに2年の開発期間が過ぎており、ゲームイベントなどにも出展されたそうだ。Steam GreenlightKickstarterのページでは、影響元となったステルスアクションゲームや映画が多数挙げられているが、『Red Awakening』は既存のステルスアクションや作品には当てはまらない、独自の世界観とゲームプレイを有していると見てよいだろう。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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