発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第90回目は、ステルスゲーム『Wildfire』を紹介する。ステルスゲームといえば、サプレッサーを装着した銃器や、鋭利な剣がメイン武器として登場するものが多いのだが、『Wildfire』の主人公は武器ではなく火や水といった元素を操る。
『Wildfire』を手がけるプログラマーDan Hindes氏は、ステルスゲームのみを取り扱うウェブサイトSneaky Bastardsの編集者でもある。あまりにもステルスゲームが好きすぎて、開発者になってしまったといったところだろうか。
炎を操りパニックを起こす
ステルスゲームのプレイ経験があれば、敵の視界に入れば警戒されることはイメージできるだろう。主人公は打たれ弱く、敵に発見された場合は素早く身を隠さなければならない。草むらの中に入って身を低くすれば姿を隠すことができ、足音をたてずに歩くこともできる。ビジュアルは全く違うのだが、実際にプレイしてみると『Thief』や『Dishonored』を思い出す方もいるだろう。
冒頭で述べたように、主人公は武器を持たない。その代わりに、特殊な能力を持っている。遠く離れた場所にある焚き火などから炎を吸い寄せ、それを投げることができるのだ。といっても、敵に直接ダメージを与えることはできず、使い道は草木を燃やすことである。目の前で火災が発生すれば、敵はパニック状態になり慌てて逃げ出し、主人公は戦闘を回避できるわけだ。あたり一面を火の海にして敵を倒すこともできるのだが、基本的には戦わない手段を考えて進んでいく。
草原のステージでは草木を燃やす手段のひとつだった炎が、真っ暗な洞窟内では貴重な明かりとなる。上に掲載したスクリーンショットに、たいまつを持った敵の存在を確認できるだろう。そのたいまつの火を主人公は奪い取ることができる。明かりを失った敵は視界を失い、そのすきに行動すれば安全に先へ進むことができる。
PC向けアルファ版では、まだ「おまけ要素」といった感じではあるが、プレイヤーは水(氷)を操り、燃え盛る炎を消火することができる。また、水面を凍らせて徒歩で静かに対岸へ渡ることもできる。最終的には火と水の2つのエレメントを使い分ける複雑な仕掛けが登場し、もっとパズル色が濃くなるだろう。ちなみに、Kickstarter(目標金額1万ドル)の結果次第で新たな元素「土」が追加されるようだ。
『Wildfire』の対応プラットフォームはPC、発売時期は2016年3月を計画しているという。Kickstarterでは資金調達プロジェクトを開始しており、Steam Greenlightにも登場している。ステルスゲームが好きならば、アルファ版をダウンロードしてみてはいかがだろう。