初代プレステ時代の”ローポリ”をUnityで再現する国産アドベンチャーゲーム『Back in 1995』


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第87回目は、『Back in 1995』を紹介する。近年、特にインディーゲームでは、1980年代から1990年代を思わせるような、2Dドットグラフィックの作品が数多く登場している。そんな中、本作は初代PlayStationやセガサターン時代の"ロースペックポリゴン"を再現することを目指したタイトルだ。

 


1995年が舞台の1995年風ゲーム

『Back in 1995』は、国内のインディーゲームデベロッパーであるThrow The Warped Code Outが開発している。ゲームジャンルはアクションアドベンチャーだ。公式サイトにて開発者は、「ポリゴン最初代機の映像は、粗削りで情報量は少ないけれど、3D空間を自由に冒険できる画期的な体験と感動がありました」と解説。同時代を思わせるかのような作品はまだ多くは存在せず、それなら自身で作ろうと『Back in 1995』の開発を始めたという。現時点では初期開発版を使用した"テスタートレイラー"とスクリーンショットが公開されているのみであり、詳細は謎に包まれている。どうやら主人公が塔に向かうゲームであることは間違いないようだ。右下でディスクが回転するロード画面、まったく指先が動かず固定されているかのようなキャラクターアニメーション、ムービーシーンに入ると上下に黒帯が入る演出などは、確かに当時の作品を彷彿とさせる。

 

 

Throw The Warped Code Outは、東京に在住する1人のサラリーマンが営むワンマンスタジオだ。本業はゲーム企業の営業職。仕事がきっかけでUnityに触れるようになり、独学でC#を学ぶようになったと、AUTOMATONの取材に対し語ってくれた。小さなスマートフォン向けアプリをリリースしたほか、PlayStation Vita向けの背面タッチアクションゲーム『CardBoard Cat EP』を開発・販売しており、本作は3作目となる。「1人で開発しています。日中はサラリーマン、平日深夜と土日は開発の二足のわらじです。今回のゲームはデータ物量が多くなりそうなので、グラフィッカーの方を1人お迎えできないかな、と人を探しているところです。ロースペックポリゴンに興味のある方ぜひ!」。

ゲーム開発のきっかけについて、開発者は「"自分がこういうゲームを遊びたかったから"と、"誰もこの表現をやっていなかったから"ですね。ドット隆盛のインディー界隈にちょっと嫉妬していたところもあり。このタイトルをきっかけに、ロースペックポリゴンの格ゲーとかPRGが出るようになれば、すごく嬉しいですね」と語る。モデルとなったタイトルは、『サイレント・ヒル』や『アーマード・コア』三部作、『天誅 忍凱旋』や『METAL GEAR SOLID』、『リモートコントロールダンディ』など。ただし、見た目や演出については参考しているものの、パロディになりすぎないよう、気を付けているという。

 

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開発の完成度は現在で10パーセント。ゲームのジャンルはアクションアドベンチャー。モッタリとした打撃武器やガンアクションが入り、敵が一定数現れたら処理落ちする処理も準備されている。ストーリーに関しては、「1つ決まっているのは、映像表現だけでなく、ゲーム内の世界も"1995年"という点です。直接的なホラー要素は極力少なくする予定で、精神的な不安感やミステリー要素が大部分を占めます」とのことだ。

独自のローポリグラフィックをどのように再現しているのか聞いてみたところ、詳細は語ってくれなかったが、かなりの"反則技"を使用しているそうだ。「Unityエンジンを使用しています。ロースペックポリゴンの表現には、かなりな反則技を使っています。それでも、まだ満足の行くダウングレードまで達していません。今後はPS特有の描画精度や、Zソートに起因するポリゴン割れなど、マニアックなところを再現できるよう試行錯誤しています」。

「単純に自分がゲームに没頭していた頃がその時代だったので、ロースペックポリゴンの見た目に思い入れがあります。"自分もこんなゲームを作りたい"と思いながら今まで来たので、それがやっと叶うようになった……という心持ちです」。初代PlayStationやセガターン時代への思い入れについて、Throw The Warped Code Outの開発者はそう語ってくれた。

 

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『Back in 1995』はPCやMac向けに2015年冬リリース予定。Unityを使用しているため、コンソールゲーム機への移植も比較的楽だと考えているとコメントしている。今年5月に東京で開催されるTokyo Indie Fesへも出展予定。