行動が物語になるアドベンチャー『Reflections』 大人となり我が家を巣立つ1日の物語


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第70回目は、"リアルワールドアドベンチャーゲーム"と銘打たれた『Reflections』を紹介する。本作の開発を手がけるのは、Broken Window Studios。2014年3月に『Grave』を正式発表したスタジオだ。『Grave』では、オープンワールドとストーリー重視のサバイバルホラーを組み合わせる斬新な発想を見せたBroken Windowだが、『Reflections』でも野心的なテーマに挑戦している。

 

 


我が家を巣立つ1日

 

『Grave』と同じく、『Reflections』は一人称視点のアドベンチャーゲームである。主人公は、大人へと成長し巣立ちの日を迎えた1人の青年だ。プレイヤーは出発の時間まで準備を進めることになる。自分のことを片付けてしまうのか、AI操作の他キャラクターや動物と関係を深めるのか、あるいはただ単に探索するのかは、プレイヤーの自由だ。

『Reflections』の明確なストーリーは提示されていない。代わりにプレイヤーが取った行動が、物語を細かやかに形成してゆく。本作には、『Grave』にも存在するBroken Window Studios内製の"ストーリーテラーエンジン"が搭載されており、プレイヤーが取った行動の1つ1つがストーリーに反映(Reflection)されるのだ。

こう説明を受けると、"ある特定の行動をすれば物語が分岐する"といったよくあるゲームデザインを想像すかもしれないが、『Reflections』のそれはさらに細かい。特定のアイテムが再登場するといった小さな現象から、探索可能な地点が登場するといった大きな現象まで、プレイヤーの行動によりゲーム内では数百種類の変化が発生するのだという。

『Reflections』が目指すのは、"プレイヤーがトレイラーをカスタムするような体験"だ。とはいえ、ゲーム内はインタラクティブ性に満ち溢れており、ただ座って見るだけのゲームというわけではない。

 

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『Reflections』は、2012年のゲームジャムにて誕生したプロジェクトだが、いままでにないゲームデザインということも考慮され、リリースには至らなかったという。それから月日が過ぎ、『The Stanley Parable』や『Gone Home』、『Dear Esther』といった、既存の枠にとらわれない作品たちの登場により、『Relfections』にも需要があるのではないかと、開発陣の考えは変化した。今後はこの『Reflections』を始まりとし、"ストーリーテラーエンジン"をほかのプロジェクトでも使用することを視野に入れているようだ。

1人称視点のアドベンチャーゲームは、インディーゲームで賑わっているジャンルの1つである。特に『Gone Home』や『The Stanley Parable』など、特定の要素やゲームデザインに特化した作品は、近年国内外で高い評価を浴びている。『Reflections』も、そういった作品の仲間入りを果たす可能性はありそうだ。『Reflections』は2015年4月にリリース予定。新たな一人称視点アドベンチャーを探しているプレイヤーは注目しておこう。


初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。