極寒のサバイバルゲーム『Impact Winter』 小惑星が衝突した「氷河期の地球」描く


最前線のインディーゲームをピックアップする連載企画Indie of the Week。第67回目は『Impact Winter』を紹介する。本作は2014年10月に、Kickstarterでクラウドファンディングを実施したタイトルだ。残念ながらKickstarterで開発資金の獲得にはいたらなかったが、現在も開発は続いており、先日にはSteam Greenlightへも登録された。ゲームの舞台となるのは、小惑星が衝突し氷の惑星と化した地球である。プレイヤーは数少ない生存者の1人となって、過酷な極寒の世界で生きのびることを目指す。

 

 


30日以内に助けがくる

 

Jacobの左に見えるのは主人公の相棒ロボット「Ako-Light」。ライトで足元を照らしてくれるほか、収集したアイテムを格納してくれる。さまざまなガジェットや機能を追加して強化することが可能だが、バッテリーが切れると動かなくなる
Jacobの左に見えるのは主人公の相棒ロボット「Ako-Light」。ライトで足元を照らしてくれるほか、収集したアイテムを格納してくれる。さまざまなガジェットや機能を追加して強化することが可能だが、バッテリーが切れると動かなくなる

「カタストロフィ」と呼ばれる小惑星の衝突から8年が経過した地球。人類の数は激減、地球の平均気温は大きく低下し、雪がやむことなく地表に降りそそいでいる。プレイヤーは教会を拠点とする生存者のリーダーのジェイコブ・ソロモンとなり、ラジオから聞こえてきた「助けがくる」との謎のメッセージを頼りに、30日間を生きのびなければならない。

近年のサバイバルゲームでは一人称視点アクションが主流だが、本作は斜め上からキャラクターを見下ろすトップビュースタイルのゲームだ。プレイヤーの分身であるJacobは、4人の生存者とともに教会に住みつくことになる。外の世界で食料や資源を確保し、教会をアップグレードして環境を整え、目標の30日目まで生きのびることを目指す。天候は時とともに変動し、太陽が沈めば夜が来る。火を起こして体温を上げることはもちろん、食料を確保して空腹を満たしたり、日中の探索で溜まった疲れもいやさなければならない。

ゲームの舞台となる氷の世界は「The Void」と呼ばれている。さまざまなものが見捨てられ、高く積み上がった雪のなかに埋もれている空間だ。生存者の拠点となる教会だけでなく、大木や鉄塔、はては飛行機や巨大船舶までもが埋もれている。多数の資源や食料もその内部に眠っており、放浪者や野生動物たちを引き寄せている。ミッションを進めないとエリアが解放されないといった制限はなく、プレイヤーは自由にThe Voidを探索することができる。

 


仲間の死によりさらに苦しくなるサバイバル生活

 

左からマギー、ウェンディ、ジェイコブ、クリストフ、ブレーン
左からマギー、ウェンディ、ジェイコブ、クリストフ、ブレーン

本作はシングルプレイヤーゲームであり、リニアではない物語展開にも注力されている点が特徴だ。ゲームはミッション形式で進むのではなく、ランダムでストーリーイベントが発生し、プレイヤーのサバイバル体験が物語を彩ることになる。探索をしていたジェイコブが凍傷を負う、生存者の1人が謎の病気にかかる、野生動物の襲撃にあう。プレイヤーはリーダーシップを発揮し、突如発生するさまざまな問題や事件に、上手く対処しなければならない。

4人の生存者たちは操作したり探索に連れていくことはできないが、それぞれが独自のスキルを有しており、サバイバル生活を手助けしてくれる。教会のアップグレードやアイテムの修理を担当するマギー、Ako-Lightを改造してくれるクリストフ、傷や病気を治療し新しい料理レシピを考案してくれるウェンディ、武器の強化や罠の設置ができるブレーン。ただし彼らにもそれぞれジェイコブと同様にステータスが存在する。燃料がなくなり炎が消えれば体温が低下し、食料を取らなければ空腹におちいるのだ。状況が悪化すれば、生存者たちは失踪したり、死んでしまう可能性がある。生存者がいなくなれば、その人物が持っていたスキルは当然利用できなくなる。

この辺りのメカニックは、昨年発売されたサバイバルシミュレーション『This War of Mine』を思いだすデザインである。だが本作は、4人の生存者たちが固定メンバーであり操作できない点や、さらにそれぞれが重要なスキルを有しているのが特徴だ。一度誰かが死亡してしまえば、途端に1つのスキルは完全に喪失し、サバイバル生活は苦しいものとなる。一体誰を助けてなにを見捨てるべきなのか、プレイヤーは苦しい決断を迫られることになるだろう。

『Impact Winter』は2016年にリリース予定。早くとも発売は来年の1月となるが、無慈悲な氷の世界が無事完成することを願おう。