ゾンビだらけの終末世界を旅する男女を描くアメコミ風アクション『Jazon and the Dead』Figでクラウドファンディング開始

デンマークのインディースタジオ2nd Studioは11月1日、アクション・アドベンチャーゲーム『Jazon and the Dead』のクラウドファンディング・キャンペーンをFigで開始した。12月2日までに65000ドル以上集めることを目標にしている。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第319回目は『Jazon and the Dead』を紹介する。

デンマークのインディースタジオ2nd Studioは11月1日、アクション・アドベンチャーゲーム『Jazon and the Dead』のクラウドファンディング・キャンペーンをFigで開始した。12月2日までに65000ドル以上集めることを目標にしている。

Figはゲーム専門のクラウドファンディングサービスで、ファンディングに成功したゲームに対して発売までの各種サポートをおこなう点、利益配分を得ることができる投資も可能である点が特徴だ。これまでにDouble Fine Productionsの『Psychonauts 2』やinXile Entertainmentの『Wasteland 3』などが、このFigで開発資金を集めることに成功している。

物語は主人公のJazonがバーのトイレで目覚めるところから始まる。記憶を失っていた彼はバーから外に出てはじめて、世界がゾンビやゴロツキだらけのひどい有様になっていることに気づく。Jazonはそんな荒野を旅する途中、この終末世界を生き抜いてきた女性Zoeyと出会う。Jazonが自らの過去に何があったのかを知ろうとする一方、Zoeyは過去を忘れたがっていた。二人は行動を共にする中でとある預言者に出会い、人類がこの世界から完全に絶滅してしまわないように救済の旅をすることになるだろうと告げられる。

本作は「Night of the Living Dead」のような古典ゾンビ映画や、「BrainDead」といったB級ホラー映画からの影響を強く受けており、ビジュアル面では「Hellboy」のMike Mignola氏や「The Walking Dead」のCharlie Adlard氏、「Sin City」のFrank Miller氏らのアメコミ作品を参考にしているという。

ゲームプレイは見下ろし型視点で、動きは遅いものの大量にせまりくるゾンビにさまざまな銃器で応戦する。弾薬の数は限られているため無駄撃ちには注意したい。ゾンビは肉弾戦で倒すことも可能だ。2nd Studioの公式サイトでは本作はツインスティック・シューティングであるとしているが、Figのキャンペーンページにはそのような表記はない。公式サイトの方は情報が古い可能性があるので、現在は異なる操作システムに変更されているのかもしれない。また本作にはパズル要素もあり、押しせまるゾンビから逃れるためには頭を使って状況を打破する必要がある。公開されている動画では倒したゾンビを担いできて積み重ね、それを踏み台にして換気ダクトに登るシーンが確認できる。

鍵のかかったドアを開けるには特定のアイテムが必要になる
鍵のかかったドアを開けるには特定のアイテムが必要になる

本作にはお金の概念も存在するが、火をつけるための木材を購入する以外に使い道はない。水や食料、あるいは銃器や弾薬はこの世界を生き抜くためには必須だが、資源に乏しいこの世界では貴重なものだ。このような状況下では、人々の人間性が醜くなる一方であるのも無理はない。街の中では人々は独自のルールを敷いており、また一歩街の外に出れば文字通りの無法地帯が広がっている。この世界では誰も信用することはできないし、誰もJazonたちを信用することはない。

この世界のテクノロジーは洗練されているとはいえず、何につけても無駄に大きく重たくて、そしてアナログだ。電磁気学が栄えた時代には、公開されている動画内でJazonが乗っているバイクのようなホバー技術が確立されたが、ゾンビに浸食された現在ではそのようなテクノロジーが使われることはなくなり、壊れたホバーカーやホバーバイクなどがガラクタになって転がっている。

開発元の2nd Studioは2013年に設立され、この『Jazon and the Dead』の開発はその当時からすでに始まっていたという。同スタジオはこれまでディズニーなどさまざまなクライアントの映像作品やゲームにアートワークを提供して腕を磨いてきており、今回ようやく自らの作品を世に問う機会を得ることになった。公開された動画はとてもスタイリッシュで、またゾンビであふれることになったこの世界の謎に興味を持たせてくれる。しかし肝心のゲームプレイに関してはアクションシーンが中心で、それも動きの遅いゾンビを一方的に撃ったり殴ったりしているだけで緊張感に乏しい。街の中やそれ以外の人間とどう関わるのか、また旅をするといっても具体的にどのような形でゲームを進めるのかなど、ゲームシステムについてもう少し情報が欲しいところだ。

本作はFigでのクラウドファンディング・キャンペーン開始から約2日で目標額65000ドルのところ約17000ドルの出資金が集まっており、悪くない滑り出しといえるだろう。本作は目標金額を達成した場合、Windows/Mac向けに2017年第4四半期の発売を予定している。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6889