暗闇に包まれた霧の町で追跡者から逃げ続けるカーサバイバルゲーム「Time Rodent Game」奴らは粘り強く追ってくる

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第311回目は海外フォーラムTIGForums.やIndie DBにて公開されている無名のドライビングゲームを紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第311回目は海外フォーラムTIGForums.Indie DBにて公開されている無名のドライビングゲームを紹介する。

名もなきドライビングゲームを手がけるのは、「MRDRCHAIN(https://vimeo.com/80706397)」など独特な世界観の映像作品を手掛けてきたアニメーション監督Ondrej Svadlena氏。本作の世界観も氏のアニメーション作品「Time Rodent」がベースとなっているそうだ。プレイヤーは激しいカーチェイスを繰り広げながら、謎に包まれた「Time Rodent」の世界を探索し、物語の真相を追うことになる。

今年1月に公開されたゲームプレイトレイラー。なおアニメ作品「Time Rodent」ではげっ歯類のキャラクターが登場しており、これが本作の主人公となるようだ

ゲームエンジンはUnityを採用。さすがアニメーション監督というだけあって、街灯や車のヘッドライトに照らし出された濡れた路面や、霧に包まれた町の風景が、情緒豊かに描かれている。バックミラー越しに見える追跡者たちの風貌もなんとも不気味だ。Svadlena氏は明確な作品名については触れていないものの、同作に70年代の映画のスタイルを取り入れているとも話す。

一方でゲームプレイの面では、追跡者たちのAIやドライビングテクニックに重きが置かれているという。Svadlena氏は既存のオープンワールドゲームのドライビングにかなりうっぷんがたまってるらしい。突然後方からチートのように加速して近づいてきたり、あるいは車両の数を増やしたり銃撃戦を加えることでAIの頭の悪さを隠したりといったお粗末な内容ではなく、本作では挙動が人間らしく自然でありながらも、手強い敵AIを用意したいと伝えている。

実際にゲームプレイ映像を見る限りでは、敵AIはかなり賢くプレイヤーを追い詰めてゆくようだ。gifイメージでは、左右から車体を叩き付けたり、あるいは後方から押し込んだりするようなテクニックも確認できる。

Svadlena氏は1978年4月6日生まれ。公式サイトに掲載されているバイオグラフィーによれば、1984年、氏が6歳のころ、義父と母親と共に故郷のチェコスロバキアから逃げ出すという出来事があったそうだ。3人は機関銃を持った兵士や追跡用の犬に追われた挙句、ユーゴスラビア・オーストリアの国境付近を8時間かけて徒歩でさまよったそうで、Svadlena氏の今回の作品にも多大な影響を与えているのかもしれない。

「Time Rodent」の世界観で描かれるSvadlena氏のサバイバルドライビングゲームの発売時期などはまだ未定。現在はTIGForms.とIndieDBにてほそぼそと進捗が伝えられている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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