没入感により増幅される恐怖体験。一人称視点サバイバル・ホラー『The Conjuring House』再始動

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第310回目は『The Conjuring House』を紹介する。

モロッコに拠点を置くインディースタジオRYM Gamesは10月19日、サバイバル・ホラーゲーム『The Conjuring House』をSteam Greenlightに登録した。このPC版に加えてPlayStation 4版の展開も予定しており、2017年内の発売を目指して開発中だ。

同スタジオはUbisoftで『プリンス・オブ・ペルシャ』シリーズや『レイマン』シリーズなどを手がけたスタッフにより設立され、この『The Conjuring House』は彼らの処女作になる。2014年にクラウドファンディングサイトIndiegogoで開発資金を募ったが十分な支持を集められず、その後しばらく音沙汰がなかったが、今回突然の再始動となった。

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1930年代に建てられたヴィクトリア調の古い館。当時は美しいたたずまいだったことをうかがわせるが、現在は荒れ果てた廃墟と化していた。風のせいだろうか、中からは何か奇妙な物音が聞こえてくる。特に危険な場所には見えないが、失踪話など気味の悪い噂がついてまわるいわくつきの場所だ。そんな子供だましの噂話なんて、とその館に入ろうとすると、物音はピタリと止み玄関扉がひとりでに開いた。胸の鼓動が高まるのを感じる。しかしここで引き返すのは臆病者だけだ。あなたは意を決してその館の中へ歩を進める。

奇妙な噂が絶えないこの館では、過去に学者たちがその調査に訪れたが、全員こつ然と姿を消してしまった。ジャーナリストであるプレイヤーはその謎を取材するためにこの館を訪れたのだ。

『The Conjuring House』では超常現象によるホラー体験が一人称視点で描かれる。館の中ではいわゆるポルターガイスト現象のほか、幽霊ともモンスターともとれるようなものも現れる。それらにいつどこで出会うか予測は不可能で、プレイヤーがとれる行動は走ることと隠れることのみだ。この館に隠された謎を解き明かし、脱出する方法を探さなければならない。

RYM Gamesは本作が提供するホラー体験について、恐怖とは主に感覚的・精神的なもので、没入感によって増幅されるものであるとしている。プレイヤーの想像力をかきたてることが上手く機能してはじめて、プレイヤーに未知の恐怖を感じさせてパニックにおとしいれることができる。それには映画的な表現やモンスターの存在、暴力的な表現だけでは十分ではなく、プレイヤーがただ「ゲームをプレイしている」のではなく、「ゲーム内世界を体験している」と感じてもらうことで実現させたいとしている。本作はUnreal Engine 4を使用したハイクオリティなグラフィックで構築されており、そのライティングやエフェクト、サウンドも合わせて没入感を高める役割を果たしている。

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本作の物語や舞台設定は古くから数々の映画やゲームなどで採用されてきたもので、ジャンルとして目新しいものではない。RYM Gamesはその点を認めつつも、やはり定番のジャンルにはいつの時代にも居場所はあり、いつまでたっても素晴らしい題材であるとしている。同様のジャンルのゲームとして最近では『BIOHAZARD 7 resident evil』の体験版や、開発中止になった『Silent Hills』のインテラクティブ・ティザー『P.T.』、またその『P.T.』に影響を受けた『Allison Road』などがゲーマーに受け入れられていることもあり、彼らの主張にはうなずけるものがある。また本作が再始動を果たした今は、このジャンルのゲームに対する機運が高まっているタイミングともいえるだろう。

今回、RYM Gamesの共同設立者でありクリエイティブ・ディレクターのImad Kharijah氏に短いながらお話を伺った。

 

――『The Conjuring House』を開発するにあたり影響を受けた特定のゲームや映画などはありますか?

Imad Kharijah氏(以下、Kharijah氏):
本作の概要でも説明している通り『The Conjuring House』では超常現象によるホラーを描いていて、プレイヤーに昔ながらの恐怖体験を感じてもらうことを目指しています。そのためにたくさんのホラーゲームを参考にしていますが、たとえばPlayStation 2向けに発売された『零 zero』が挙げられます。映画では「パラノーマル・アクティビティ」、日本版「リング」シリーズ(「リング」「らせん」「ループ」)、そして「エクソシスト」の一作目ですね。

――2014年にIndiegogoでのクラウドファンディングを実施しましたが、今回もおこなう予定があるのでしょうか?

Kharijah氏:
いえ、今のところその計画はありません。

――本作はPC版に加えPlayStation 4版も予定されていますが、同時発売を予定しているのでしょうか?また、そのほかのプラットフォームについてはいかがでしょう。

Kharijah氏:
両バージョンを同時に発売する予定です。しかし場合によっては、PlayStation 4版の発売を数か月遅らせざるをえないことになるかもしれません。我々は少人数のスタジオですので、ゲームのクオリティを最大限に高めるため、この二つのプラットフォームだけに集中しています。

――Indiegogoでのクラウドファンディング時には、VR対応がストレッチゴールに設定されていました。今回はVRに対応する予定ですか?またPlayStation VRついてはいかがでしょうか。

Kharijah氏:
おっしゃるように当時VR対応をストレッチゴールに設定していました。しかしそのクラウドファンディングで目標額に達しなかったことを考えると、どちらのプラットフォームについてもいまVR対応を保証することはできません。これには予算的な問題もあります。

――最後に、本作を日本で展開するお考えはありますか?

Kharijah氏:
私たちは日本文化の大ファンですし、子供の頃には日本のゲームやアニメに影響を受けたものです。ですので、ぜひとも日本語に対応させて発売したいですね。日本のたくさんのプレイヤーにお届けできるようベストを尽くします。

――ありがとうございました。

 

今回Kharijah氏はインタビューに応えてくれるとともに、未公開のゲーム映像を特別に提供してくれたので以下に掲載する。

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