秋田県への愛から生まれたカナダ産2Dアクション『Miyamori』は、キュートなドット絵で日本伝承を描きだす


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第304回目は『Miyamori』を紹介する。

Miyamori』は2Dアクションゲームだ。舞台となるのは現代の日本、東北地方。ある辺境に「Izuna」と「Gedo」という名の二匹の狐が守り続ける神社があった。この守り神の力によって周辺の地域は悪しき力を寄せ付けず、平和がもたらされていた。しかし、ある日Gedoが消えたことにより力の均衡が崩れ、東北には闇が迫りつつある。また別の場所ではひとりの女性「Suzume」が行方不明になった弟「Toshiki」を探していた。似た境遇を持つIzunaとSuzumeは、協力しながらお互いの探し人を見つける旅へ出る。

まだゲームプレイに関しては詳細が公開されていない『Miyamori』だが、開発者に問い合わせたところ、本作は操作キャラクターによってステージデザインが少し異なっているのだという。Suzumeを操作する際には区切りのない『悪魔城ドラキュラ』のような大きな空間を探索することになる一方、Izunaパートではステージクリア制が採用されている。ゲームが進行するとアビリティが解放され、狐のIzunaは妖怪に変身し、時には鬼火となり姿形を変えながら先へ進んでいく。行き先には多様なボスが配置されており、歯ごたえのある冒険が楽しめるとのことだ。ステージは現時点で神社から辺境の森、郊外の街並などが用意されており、Hurd氏の“日本観”が遺憾なく凝縮されている。ゲーム中は常に時間が流れ続けるようで、のどかな神社でも夜に行くとまた違った顔が見られそうだ。

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『Miyamori』の魅力はなんといっても日本の東北を舞台とした独特の設定だろう。プログラミングとサウンドを担当しているJoshua Hurdは3年前に秋田へ留学しており、カナダに帰った後「秋田を歩いた思い出や瞬間をゲームに収めたい」という願いから空いた時間を使って開発を始めたのだという。Hurd氏は日本の民話伝承に興味を持っており、宮沢賢治の作品や森山大道の「遠野物語」から強い影響を受けていると語る。『Miyamori』ではそういった日本の伝承をベースに、愛やコミュニティ、あるいは「喪失」といったさまざまな問題が描かれるようだ。

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開発を担当しているスタジオの名はSparrow House Games。カナダのマニトバ州の拠点を構えるスタジオで、在籍しているスタッフとアニメーターHunter Russell氏をあわせた5名で開発が進められている。Hurd氏以外は全員アーティストというやや珍しい構成で、『Miyamori』はビジュアルに力が入れられていることがわかる。

対応プラットフォームはPC/Mac。近日中にKickstarterのクラウドファンディングキャンペーンを開始するとのことなので、気になる方はチェックしてみてほしい。