お手製のイカダを作り変えながら大海原へ挑む、『Make Sail』は物理演算を駆使した海洋冒険アドベンチャー

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第296回目は『Make Sail』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第296回目は『Make Sail』を紹介する。

『Make Sail』は海洋を舞台としたアドベンチャーゲームだ。自らの手で“イカダ”を作り大海原に浮かべ、世界に散らばる「嵐の目」を集めるために数々の島をめぐることがゲームの目標となる。本作には物理演算エンジンが採用されており、重量や高さなど船全体のバランスを意識しながらパーツを選び、イカダを編成しなければいけない。くわえて本作では海面や風にも物理演算が適応され、風向きや波の大きさなどを考慮したクラフトが求められる。同ジャンルの作品としては今年5月に『The Last Leviathan』がリリースされているが、あちらは敵の船と海戦し、船が壊れるさまを楽しむなど戦闘に重きが置かれていた。『Make Sail』は航海がゲームのテーマとなっている。

ゲームを始めると、プレイヤーはあらかじめ用意されている素材で自由にイカダを作成し、航海を始める。プレイヤーの前に立ちはだかるのは、すべてを吹き飛ばす「大嵐」だ。海に浮かぶ島にはそれぞれ「嵐の目」が眠っており、これらを集めていくことで大嵐の接近を食い止められるというわけだ。

興味深いのは、新たな島に着くたびにイカダの設計を見直す必要があるという点だろう。海には大嵐のほかにも激しい波や風、そして獰猛なモンスターが眠っている。そんな危険な環境を生き延びるためには、プレイヤーはイカダを海に“適応”させなければいけない。目標地点の方角を意識し帆を立てれば時間をかけず安全な航海が楽しめるし、大きな波に対策をほどこしたイカダを設計することで転覆の危険性が減る。帆やマスト、厚板などお決まりのパーツはもちろん、バルーン、プロペラなど時には空を意識した設計を取り入れてオリジナルの船を作っていこう。このように航海しながらパーツを集めつつ、海路にあわせてイカダの構造を変化させていくことが本作の鍵となりそうだ。

また本作は、一般的な物理演算シミュレーター作品のように乗り物が主人公になっているわけではなく、“人間”としてイカダを操作しながらゲームを進めていく。「嵐の目」を見つけるためには、島に上陸し遺跡を探し求める必要があるなど、海と地の両方を探索する必要ようだ。

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開発を担当しているのはボストンに拠点を構えるPopcannibal。ロボとナードと少女の配置を考えるパズルゲーム『Girls Like Robots』や、文明の滅びた惑星を探索する2Dアドベンチャー『Elegy for a Dead World』で名をあげたスタジオだ。スタッフはZiba Scott氏とLuigi Guatieri氏のふたりで構成されている。ふたりとも子供の頃から孤独や美しさなどさまざまな魅力を抱える海に愛情を感じていたといい、ワクワクとドキドキを含む海を描きたいという願いから本作は生まれたようだ。

『Make Sail』は現在figで5万ドルを目指したクラウドファンディングのキャペーンを展開し、10月3日17時時点で2万7千ドルを達成している。ちなみに20ドル以上投資すれば製品版が入手可能となっている。

発売時期は2017年Q4。対応プラットフォームはPC/Mac/Linuxの予定だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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