ネットの世界が混沌な3Dワールドに、Future Funkで極彩色のサイケデリック世界を行くゲーム『Broken Reality』が開発中

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第282回目は『Broken Reality』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第282回目は『Broken Reality』を紹介する。

ゲームジャンルで分別すると、『Broken Reality』は一人称視点の探索アドベンチャーゲームだ。プレイヤーは3D空間へと再創造された「World Wide Web(WWW)」、つまりはインターネットの世界を自由に進み探索してゆく。“もしインターネットの世界が3D化されたら”という開発チームのコンセプトは、下に掲載したトレイラーのような混沌としたサイケデリックワールドを生み出してしまった。

ただ、一見すると単なるカオス3D空間に見えるかもしれないのだが、確かに『Broken Reality』は現実世界のインターネットを模倣した作品だ。マップを歩いていたら広告が突然表示されたり、いいねを求めるアバターに追いかけまわされたり。ゲーム内は「ブログ」「チャットルーム」「ソーシャルメディア」といったレベルに別れており、それぞれ異なるゲームプレイメカニックやアイテムが登場すると開発チームは説明する。

はたしてプレイヤーがどのような役割を担うのかは不明だが、ゲームにはエンディングが存在しており、条件さえ満たせばすぐにでもクリアできることが可能だという。『Broken Reality』の世界はオープンエンドで、ゲームの進行と共に探索可能なエリアが増えていく。

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1998年にアスミック・エースより発売された初代PlayStation作品『LSD』のように、豪華なミュージシャンたちが参加しているのも本作の魅力。「マクロスMACROSS 82-99」「NxxxxxS」「猫 シ corp.」といった面々が登場しており、Vaporwave/Future Funkサウンドが極彩色のサイケデリック空間をきらびやかにさわやかに彩ってくれている。同ジャンルの荒唐無稽さや混沌感、そしてタイトルによくわからない日本語を使用する傾向は、『Broken Reality』の世界観とマッチしているようだ。(※Vaporwave/Future Funk: 80年代に登場した音楽やテレビ番組などをサンプリングして使用するジャンル)。

メインの『Broken Reality』の制作に参加しているのは3名のインディーデベロッパー「Galamot Shaku」「Sebastian Covacevich」「Rodrigo Saco」で、現在まで開発に2年の月日を費やしたとのこと。現在はKickstarterにて3万5000ドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施中。「平均の死亡統計からすると、このゲームの開発中に1人のチームメンバーが死んでしまうかもしれない。だが本作は情熱で作り上げてきたプロジェクトだ。我々は2年間にわたり開発に参加してきたし、もしチームのメンバーが1人死んでしまったとしても、本作は無限のインターネットから消滅したりはしない」と謎のコメントを寄せている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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