アリの地下帝国を築くRTS『Empires of the Undergrowth』が開発中、「シムアント」と「Dungeon Keeper」の融合を目指す

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第280回目は『Empires of the Undergrowth』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第280回目は『Empires of the Undergrowth』を紹介する。

『Epires of the Undergrowth』は、アリの巣を指揮するリアルタイムストラテジーゲーム。アリたちを使って巣を拡張、食料を集め個体数を増やし、敵対している巨大昆虫や相手の巣に勝利することがプレイヤーの目的だ。昆虫たちのリアルなアニメーションや挙動も特徴で、トレイラーでは大量の虫たちがわきわきと動き回る映像が披露されている。

今年4月に実施したKickstarterキャンペーン用のトレイラー。同キャンペーンでは1万8087英ポンドの資金調達に成功

開発スタジオの「Slug Disco Studios」は、本作に影響を与えたタイトルとして『Dungeon Keeper』と『シムアント』、さらに『StarCraft 2』の「Desrt Strike」マップの3作品を挙げている。巣の構築に関しては『Dungeon Keeper』のルールが流用されており、同作をいくらか簡略化したものと考えるとわかりやすいだろう。

ゲームスタート時点では女王アリと数匹の働きアリが存在しており、プレイヤーは掘り進むタイルを選択して巣をデザインしていく。空いたタイルに「食料庫」を建設したら、集めた食料を消費してアリの「孵化場」を設置、アリの個体数を増やす。徐々に地表にも進出し、巨大昆虫を倒しながらテリトリーを広げ、最終的に敵対している巣に攻め込むというのが、本作の一連の流れとなる。もたもたしていれば敵対する巣から攻め入られる可能性もあるため、ことは迅速に進めなければならない。

巨大昆虫や敵対する巣との戦闘では、プレイヤーは各アリをRTSのように細かく操作する必要はなく、進撃する地点をクリックするだけでいい(いわゆるtag-of-warスタイルに近い)。あとは自動でアリが敵を攻撃してくれるので、プレイヤーは自軍のアリの構成や巣の運営に注力すればよい。

また本作は近年のRTS作品としては珍しくシングルプレイヤーモードがメインのゲームであり、キャンペーンを存分に楽しむことができるのも魅力の1つである。DNAを収穫するという架空のアリの種をドキュメンタリー映像の制作チームが追う物語を筋に、“遊牧民”のように次々と巣を拡張していくアリたちの様子がナレーションと共に描かれる。

開発の「Slug Disco Studios」自身も、BBCのドキュメンタリー映像などを見てアリに魅了され、本作の開発をスタートしたとIndieDBにて語っている。主役のアリを前述の架空のアリとするのか、実在する「Slave-Make Ant(他の巣の若いアリをさらって奴隷にするアリ)」にするのかで悩んでいた様子からは、アリへの本気の愛が伝わってくる。

5月27日に1万8087英ポンドを集めて以降、支援者への報告も定期的に行われており開発は順調に続いているようだ。『Empires of the Undergrowth』はPCを対象にリリース予定で、公式サイトでは2ステージをプレイすることができるデモも現在公開されている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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