滅亡のアリゾナ砂漠とギターの渋いBGMが絡みあう、スピリチュアルな戦士となりゴーストと戦うアクションRPG『Lonely Star』

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第275回目は『Lonely Star』をピックアップする。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第275回目は『Lonely Star』をピックアップする。『S.T.A.L.K.E.R. Call of Pripyat』で証明されたように、ギターで奏でられるBGMと荒廃した世界観はよく馴染む。今回紹介する『Lonely Star』も、ギターのサウンドと寂れた世界観が見事にマッチするタイトルだ。まずはご機嫌なトレイラーをご覧いただきたい。

プレイヤーが操作するのは、「ピラミッド郡(Pyramid County)」の寂れた僻地に住んでいたという、とある男性キャラクターだ。ある日、ソーサラーでありスピリチュアルグルでもある「Tom Magus」と出会った彼は、2012年12月21日に“星”が地球に戻り、世界が崩壊することを教えられる。なんとも怪しいあらすじだが、ともかく主人公はMagusと共にアリゾナ州の農場に移り住み、スピリチュアルな戦士として荒廃した世界を生き延びられるように訓練を受けることになる。

本作はオープンエンド型の2DアクションRPGである。プレイヤーはアリゾナ砂漠を探索し、一癖も二癖もあるNPCと関わってクエストをこなし、日々を生き延びることを目指す。サバイバル要素も盛り込まれており、主人公の「エネルギー」を維持するために食料を集めなければならない。撒き餌を使ったハンティングやトウモロコシの栽培、また矢や薬を作るといったクラフト要素なども存在する。

7c44b7a0130107a7bb151081a9e592f9_original少しばかり目が痛くなるエキゾチックなグラフィックや、ビターなギターサウンドはもちろん本作の華だが、ゲームプレイにおいてもっとも注目すべきは戦闘要素だろう。いわゆる「Diablo」型の見下ろし2Dアクションに見えるが、そのメカニックはかなり複雑で、近接戦闘1つにしてもローリングの回避にブロックやパリィが存在する。弓矢を使った遠距離攻撃、闇夜や遮蔽物に隠れてからの奇襲といったステルス要素。またなぜか「トウモロコシ」を利用した攻撃方法も存在しており、トウモロコシ粉をふりかけて敵の視界を防いだり、トウモロコシ油を撒いて火をつけるといったこともできるようだ。多彩でスピリチュアルな戦闘は、よくあるアクションRPGやサバイバルものに飽きたプレイヤーを満足させることだろう。

開発を担当するMatt Judge氏は、前職の会社を去り2012年にゲーム開発者になった。ロック&パンク誌の「Maximum Rocknroll」や「Razorcake」などに自作のアートやサウンドを取り上げてもらったこともあるそうで、本作の異様なビジュアルにも納得がいくところだ。彼にとって『Lonely Star』は初となる長期プロジェクトで、サウンドデザイナーのTopher Pirkl氏が相棒をつとめている。

『Lonley Star』のリリース時期は未定。記事執筆現在、Kickstarterにて1万8000ドルを集めるためのクラウドファンディングを実施しているが、どうも成功するのは難しそうだ。荒廃したアリゾナ砂漠で描かれるスピリチュアルなゲームプレイがいつか楽しめることを願おう。なお交際気サイトでは無料デモも配信されているので、気になる方はチェックしてみよう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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