発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第270回目は『Beat Cop』をピックアップする。
『Beat Cop』の舞台となるのは80年代のニューヨーク。にぎやかに見える街はあくまで表の顔。本当の街はもはや理性を失ってしおり、暴力と金が蔓延している。主人公の警官Jack Kellyもまた街の暗い影に染まりつつある人間のひとりだ。勤務中に発砲し人を殺害してしまったことから、前科一犯の経歴を持つ。上司からはゴミのように扱われ、同僚には見捨てられ、妻は金の亡者となった。マフィアにもにらまれており、Jackを始末する機会を今か今かと待っている。Jackがすべてを取り戻すための道は、街全体を覆う闇の根源を暴く以外にない。さえない「Beat Cop(巡査に近い警官)」として職務を全うしながら、街を、そして自分を救うための孤独な使命のため奔走することになる。
ゲームジャンルとしては、気になるところをクリックしてキャラを移動させ、オブジェクトを調べていくアドベンチャーゲームだ。しかし街では常に事件やイベントが発生しており、従来のアドベンチャーよりもかなり慌ただしいので、どちらかというとシミュレーションに近いとも言えるだろう。基本的なタスクは、巡査の仕事である“点数稼ぎ”だ。主に、道路の駐車禁止区域で無断駐車を取り締まり、切符をきっていく。切符をきる数が多ければ多いほど功績となるなどメリットも大きい。しかし、忘れてはいけないのは、汚職と犯罪にまみれた街ではさまざまな事件が常に起こっているということだ。駐車の取り締まりに集中しすぎていると、本来の街の闇の根源を突き止めるという目的は達成できない。画面の色々な部分に目を光らせ、街で起こる事件にアンテナを張る必要がある。
職務を遂行する中で、プレイヤーは多くのキャラクターやイベントと出会うことになる。例えば、事件を起こしたキャラクターが犯した罪をもみ消すために多額の賄賂の相談を持ちかけてくることもある。また、いかなるタイミングでどんなキャラが相手でも、自分の望むとおりに逮捕をおこなうことも可能だ。ほかにも、さまざまな場面でプレイヤーはモラルを問われる判断を求められ、結果にあわせて物語やエンディングが変化していく。血に染まった手をさらに汚し真相を追求するのか、法にのっとり正義を貫くのかはプレイヤー次第だ。ゲームプレイトレイラーを見れば、システムについてはより深く理解できるだろう。
『Beat Cop』の開発を担当しているのは、ポーランドに拠点を構えるPixel Crow。ベテランクリエイターMaciej Miasik氏とAdam Kozlowski氏のふたりを中心に構成されている。Maciej Miąsik氏によると、『Beat Cop』は『Papers, Please』から強い影響を受けているという。限られたエリアで作業をこなしながら、自由度の高い選択ができるゲームを目指しているようだ。パブリッシャーは『This War of Mine』で名を馳せた11 bit studiosということで、一癖も二癖もあるダークなアドベンチャーゲームとなりそうだ。
2016年Q4にリリースが予定されており、公式サイトでは予約販売が開始している。