RPGツクールから生まれた『Long Gone Days』は、過酷な戦争ドラマをさまざまなジャンルを交えて描く

『Long Gone Days』は戦争をテーマとしたRPG。主人公は、幼少期の頃からスナイパーの訓練のみを受け、外の世界を知らぬまま生きてきた青年Rourkeだ。本作の特徴は可愛らしいドット絵と、一風変わったゲームシステム。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆIndie Pick。第269回目は『Long Gone Days』をピックアップする。

『Long Gone Days』は戦争をテーマとしたRPGだ。主人公となる兵士Rourkeは、幼少期の頃からスナイパーの訓練のみを受け、外の世界を知らぬまま生きてきた青年だ。任務中、Kaliningradにて作戦にかんする秘密を知ってしまい、その影響力を知らないまま役職を放棄して戦争を抜け出すことを決意したところから物語は始まる。差し迫った戦争を防ぐためにRourkeはさまざまな国の人々が在籍する部隊に参加する。そして、戦術や通訳など彼らの力を借りながら、目的を果たすため旅をすることになる。

本作の特徴は可愛らしいドット絵と、一風変わったゲームシステムだ。本作では、キャラクターやストーリーをフィーチャーするJRPGの要素を取り入れながらもビジュアルノベルやパズル、シューティングなどさまざまなゲームシステムが混在している。例えば、戦闘はJRPG定番のターン制でキャラクターの行動を選択していくコマンドモードと、隠れて敵を狙撃するスナイパーモードに分かれている。前者の戦闘システムが基本となっており、攻撃の際には敵の部位を選択するなど戦略性が求められる。後者のスナイパーモードの詳細は明らかになっていないが、スクリーンショットを見た限りでは敵を撃つミニゲームに近い印象を受ける。

また本作にはレベルアップシステムが採用されておらず、戦闘をいたずらに重ねてもプレイヤーのパーティが強くはならない。敵はあくまでストーリー進行の際に現れるのみで、ランダムエンカウントのように突然戦闘が始まることもない。その分、本作では「スキル」が大きな意味を持つ。すべてのキャラクターはそれぞれのスキルを持っており、あるものは戦闘から逃げやすくし、あるものは英語を話さないNPCとの会話を可能にするといった具合だ。オーソドックスなRPGのように戦闘で強化していくのではなく、キャラクターの特性を活かすのが難所突破の鍵となりそうだ。また、武器や防具のアップグレードはアイテムによっておこなわれる。スキルやアイテムといった要素はシナリオの進行によってバリエーションが増えていくようで、ストーリーを中心としたデームデザインとなっている。

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興味深いのは、本作ではパラメータのひとつとして「士気」という概念が存在することだ。この要素は、戦闘中のキャラクターのパフォーマンスに強く影響する。士気が高ければクリティカル攻撃を繰り出し、回避能力が上昇する。反対に士気が低いと攻撃の正確性と防御力が低下し、ゼロになってしまうと戦意を喪失することになる。戦況を有利にするためには士気のコントロールが重要となるのだ。士気を高めるにはそれぞれのキャラクターの特性を対話の中で知る必要がある。悲観的なキャラクターが過剰な激励によって士気を高めるということはなく、仲間の特性に合わせた行動が求められる。

『Long Gone Days』の対応プラットフォームはPCで、操作はキーボードとコントローラー両方に対応するという。すでにSteam Greenlightを通過しIndiegogoでのクラウドファンディングは目標額2万ドルの60%以上を達成。キャンペーンがうまく達成できれば、リリースは2017年末から2018年初頭となるようだ。現在はitch.ioRPGMaker.netにて体験版が配信されているので、興味のある方は遊んでみてはいかがだろうか。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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