“台湾の学校”が舞台の2Dホラーゲーム『返校』が開発中、道教文化や東南アジアの神話怪談で独自の恐怖体験を描く

第254回目のIndie Pickで紹介する『返校』は東南アジアの怪談をモチーフにした2Dホラーゲームだ。本作は1950年代から60年代の台湾が舞台となっており、ゲーム内では台湾独特の文化や景色、ホラーゲームでは珍しい道教文化、また東南アジアの神話怪談が描かれている。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第254回目は『返校』をピックアップする。

返校』は東南アジアの怪談をモチーフにした2Dホラーゲームだ。タイトルである返校という言葉は、中国語で「学校へ帰る」という意味を持つ。本作は1950年代から60年代の台湾が舞台となっており、ゲーム内では台湾独特の文化や景色、ホラーゲームでは珍しい道教文化、また東南アジアの神話怪談が描かれている。 主人公は同じ山奥にある翠華高等学校に通う生徒と偶然校内で出会い、ともに学校に閉じ込められてしまう。校内を探索し脱出を試みるうちに、いつも通っているはずの高校が暗闇に包まれ全く違った不気味で恐ろしい場所に変貌していることに気付く。そんな危険に溢れた学校のなかで、プレイヤーは探索中“何者”かに追われるふたりの生徒を操作し脱出へと導かなければならない。探索を進めていくうちにあなたは学校に隠された過去と真実を知ることになる。

近年では『Neverending Nightmares』や『The Human Gallery』といった2Dホラーゲームがリリースされているが、『返校』はそれらのタイトルとは少し異なり、恐怖の中に混じるどこか儚げな雰囲気が特徴的だ。たとえば、少年少女はともに現代的な見た目をしているが、背景は昔の写真をもとに描かれているおり、ノスタルジックな一面が見える。1950年代から60年代と言えば、台湾はまさに戒厳期の真っ最中だ。戒厳期とは、中国から逃れてきた蒋介石が強圧的な軍隊統治の 政治をおこなっていた時期を指す。『返校』にはその戒厳期の様子も描かれているのだといい、ゲームの不気味かつ悲しい空気はそういった要素と関係しているのかもしれない。

開発を担当するのは台湾を拠点とするRed Candle Games。6人のメンバーはさまざまなバックグラウンドを持つが、「どうして自分たちの文化や歴史を扱ったゲームがないんだろうか」という単純な一声から開発が始まり「台湾の歴史的背景を描くゲームを作る」という強い意思を持って結集したようだ。開発が進んでいくと次第にゲームの規模も大きくなっていったそうだが、うまくインディーという形を保ちながら進められている。

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『返校』は2016年8月にPC/Mac/Linux向けのリリースが予定されており、Steam Greenlightページもすでに存在している。本作は日本語が用意されているようで、公式サイトにも数多く日本語によるゲームの説明がなされているので、気になった方はそちらも見てみてほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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