「ザッパー銃」でロシアンルーレットを決めろ、”むさいカウボーイの魂”が1MBのNESカセットに込められた『Super Russian Roulette』開発中

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第234回目は『Super Russian Roulette』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第234回目は『Super Russian Roulette』をピックアップする。

国内で1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」は、海外では「Nintendo Entertainment System」こと「NES」という名で、ベースは同じだが異なる規格のハードとして販売されてきた。本作『Super Russian Roulette』は、そんなNES上で動作する新たなパーティーゲームとして開発が進められているタイトルである。内容は至極単純。髭面の口汚いカウボーイの前で、プレイヤーたちはザッパー銃(光線銃)でロシアンルーレットを繰り広げるのだ。

NES向けの新作『Super Russian Roulette』では、2人以上のプレイヤーが画面上に映しだされたカウボーイの指示を仰ぎつつ、ザーッパー銃をこめかみに当てて引き金を引き合う。セットされている弾倉が空ならばセーフ、弾が込められていたらアウトという、よくある「ロシアンルーレット」を再現した内容。ただ現実世界では脳みそが吹っ飛ぶわけではないので、罰ゲームとして酒を一気にあおり意識を吹っ飛ばすという遊び方がテストプレイでは流行ったようだ。

もちろん飲み過ぎはほどほどに
もちろん飲み過ぎはほどほどに

ここまでは単なるロシアンルーレットを題材にしたパーティーゲームに聞こえるかもしれないが、本作最大の魅力はゲーム中に登場する唯一のキャラクター「カウボーイ」の存在である。NESカセットの最大容量である1MBに魂を込められたこのカウボーイは、プレイの度にカラーや口ひげが変化し、コミカルなアニメーションと収録時間4分以上にのぼる口汚いセリフでプレイヤーたちを楽しませてくれる。時にプレイヤーたちにマヌケっぽいアダ名を付け、時にプレイヤーたちにリズム良く机を叩かせ、時に早く引き金を引けと煽る。

なお2015年9月に米国で開催された映画祭「Fantastic Fest 2015」のインディーゲームパート「Fantastic Arcade」にて、本作はオーディエンスチョイスアワードを受賞。開発者のAndrew Retiano氏は、「NES」「メガドライブ(Genesis)」「セガCD」向けのソフトやハード、さらに自身でレトロなアーケード風筐体を作ってしまうなど、筋金入りのレトロゲームソフト&ハードウェアマニアである。製品版は当時出展されていたバージョンからさらにパワーアップしているそうだ。現在はKickstarterにて初期目標額2万ドルのクラウドファンディングを実施しており、すでに2万5000ドル以上を集めている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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