“都市伝説”や”魔法少女”からエネルギーを収集する施設管理シミュレーション『Lobotomy Corporation』開発中、「SCP」の影響も

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第233回目は『Lobotomy Corporation』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第233回目は『Lobotomy Corporation』をピックアップする。

本作は「ロボトミーコーポレーション」という物騒な名前の企業下でエネルギー生産施設を運営するシミュレーションゲームだ。デスク仕事に疲れていたプレイヤーは、ある日ロボトミーコーポレーションにヘッドハンティングされ、エネルギー生産施設の管理人として新たな人生を歩みだすことになる。しかしこの施設でエネルギーを生産しているのは、この世の者とは思えない「怪異(Abnormaility、アブノーマリティ)」たちだった……。

プレイヤーが管理する施設には、世界中の様々な都市伝説やモンスター、空想上の生き物と信じれてきた”怪異”たちが集められてくる。「空中に浮かぶ十字架髑髏」「身体から機械が生えた殺戮人間」「背中が燃えている焼け焦げた少女」「カーレンの赤い靴」「大量の目がある巨大な黒鳥」「魔法少女」。これら怪異を適切に管理し、最大限のエネルギーを生産し続けるのが、会社からプレイヤーに課せられた使命である。なお本作は、怪異を収集して保護する架空の組織を描いたコミュニティ創作作品集「SCP」から影響を受けているとのことで、そちらを想像すると舞台となる施設の設定もよりわかりやすいだろう。

さて『Lobotomy Corporation』において「怪異」が施設に送られてきた時、その「怪異」に関する情報は一切白紙の状態だ。まずプレイヤーは「怪異」を自身の目で確認し、いったいどういった条件でエネルギーを生みだすのか推測、従業員たちに適切な調査や仕事を任命しなければならない。そうやって徐々に「怪異」の性質を知り、彼らが気持よく生活できるように環境を見直し、より多くのエネルギーを産出しつつ日々のノルマをクリアしてゆくのだ。

「”怪異”たちがおとなしくエネルギーを生み続けるのか?」という疑問をいだいた読者もいるかもしれないが、まさにその通り。『Lobotomy Corporation』では、取り扱いを間違えれば「怪異」たちが収容部屋から抜けだして暴れ回る”緊急事態イベント”が存在している。たとえば「カーレンの赤い靴」は、女性従業員と接触すると彼女を魅了・洗脳してしまい、施設内で殺戮の限りを尽くしてしまう。こういった「怪異」の暴走に対し、プレイヤーは特殊部隊を投入して”処理”するのか、あるいはエネルギー生産のため”確保”するのかを決断しなければならない。

このほか従業員は「マネージャー」「事務員」「特殊部隊」の3種類に区分されており、それぞれ適切な仕事に就かせなければならない。人間らしいAIが目指されており、時には失敗したり自身の判断で動いたりするという。また従業員たちは「怪異」に触れることで精神を病んでしまったり、「怪異」に洗脳されて彼らの駒として施設に悪影響を与えたりする。「怪異」のご機嫌をどう取るのかなどゲームシステムにはまだまだ謎の部分も多いが、様々な伝記や架空の物語から登場するバリエーション豊かな「怪異」たちとの不思議で危険な日常はとてもエキサイティングなものになりそうだ。

『Lobotomy Corporation』は韓国の開発チームが現在制作を続けており、発売時期は未定となっている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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