あなたは見張りの力をどう使うのか?社会監視シムゲーム『Need to Know』開発中、諜報機関から他人の情報を盗み”世界の脅威”か判断せよ

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第226回目は『Need to Know』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第226回目は『Need to Know』をピックアップする。

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NSAのものに非常によく似た「Department of Liberty」の紋章。NSAは鷹だがDoLは梟になっている

2013年、アメリカ国家安全保障局(NSA)にて働いていたエドワード・スノーデン氏が、NSAはインターネットなどを通じて個人情報を収集していると暴露した事件は記憶に新しい。本作『Need to Know』は、NSAに非常によく似た架空の諜報機関「Department of Liberty(DoL)」から社会を見張る”監視シミュレーションゲーム”だ。プレイヤーはDoLに所属する職員の1人となり、世界中の人々の個人情報を収集して、彼らがテロ攻撃などの脅威となるのかどうかを判断しなければならない。

プレイヤーの分身であるDoL職員「ダグラス・ハーゲン(女性の場合はアミラ・タリク)」は、機関のやり方に疑問を感じつつも職務をまっとうしている理想主義傾向の人物だ。ダグラスあるいはアミラは、変人の上司フランク・タルビーや仕事のライバルであるサム・ラフトらと共に、様々な情報を傍受して世界の脅威を見つけだすことになる。

ゲームはまず、リストアップされたターゲットから調査する対象を選択することより始まる。ターゲットを選んだら、メールやスマートフォンでのやり取り、ブラウザのサイト訪問履歴などを調査し、危険性があると思われる情報を特定する。それらの情報を総合し、ターゲットが危険人物かただの一般市民かを最終的に判断するというわけだ。これが『Need to Know』をプレイする際の基本的な流れとなる。

またゲームの進捗状況に合わせてキャラクターの「クリアランスレベル(機密レベル)」が上昇すると、座標トラッキングや購入履歴、ドローンなど、選択可能な調査手段が拡大してゆく。本来は閲覧不可な機密情報にアクセスできるようになったり、ターゲットに渡航禁止令を出せるようになったりと、ゲーム後半にはさらに過激な手段が取れるようになる。

見張りのいない監視者

『Need to Know』はチャプターベースで進んでゆくタイトルとなっており、ストーリーにも力がなかなか入っている模様だ。プレイヤーの分身である主人公は機密レベルが上昇するたびに強大な力を持つようになり、そしてそれをどう行使するのかを自身で選択することができる。機関のために力を行使して危険人物を割り出すのか、それとも情報をリークして機関の力を内部から弱体化させるのか。またゲーム内では主人公の私生活も描かれ、給料で地味な生活を送るのか、職権を乱用して不正に資金を得て豪勢な生活を送るのか。見張りの力をどう行使するのか。監視者となった今、それはプレイヤー自身が決定できるのである。

『Need to Know』の開発はオーストラリアに位置する「Monomyth Games」が担当。若い3人の開発者たちがスタジオのコアメンバーとなっている。グラフィックはややチープな感もするが、現在Kickstarterにて2万9000ドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施しており、今後さらなるクオリティアップを目指しているという。

『Need to Know』の発売時期はまだ未定だが、Steamを通じてPC/Mac/Linux版がリリースされる予定となっている。DRMフリー版も提供されるという。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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