発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第221回目は『Wandersong』をピックアップする。『Wandersong』は、プレイヤーとなる若き青年が「歌」を歌い、世界を救う旅に出るというミュージカルアドベンチャーゲームだ。青年の歌は人々の悩みを解決し、ときには謎を解く鍵にもなり、最終的に世界を救うことにもつながっていくという。開発はカナダのバンクーバーに在住しているGreg “Banov” Lobanov氏が個人で行っている。現在Kickstarterにて目標金額1万8000ドルのクラウドファンディングキャンペーンを実施中だ。
プレイヤーはハンドクラフト風の世界のなかで、歌が大好きな青年The Bardを操作していく。The Bardはいつでも歌を歌うことができ、その歌声に反応してキャラクターやオブジェクトがさまざまなリアクションを示す。物を動かしたり、風の吹く方向を変えたり、鳥を呼び出せたり、はたまた時間の流れを変えたりと、歌を聴かせる対象によって異なるリアクションが用意されており、100以上のパターンがあるようだ。プレイヤーは、これらの歌による反応を利用しゲームを進行させていくことになる。また、歌のコマンドなどを記憶しておく必要はなく、キャラクターは環境や状況を読み取りその場に応じた歌を歌ってくれる。
Banov氏は本作においてサウンドが最も重要なパートであると明言しており、プレイヤーの感情を揺さぶったり、ついプレイ中に歌を口ずさみたくなるゲームを目指しているという。音楽にかんしては、アイリッシュ音楽などさまざまなジャンルを集結させた『ゼルダの伝説 風のタクト』のような作風を意識しているそうだ。クラウドファンディングで得た資金の9割が楽曲の制作やほかのアーティストとのコラボレーションに使われる予定であり、サウンド面におけるこだわりが見て取れる。
Banov氏は10代のころからゲームを作り続けてきた生粋のインディーデベロッパーだ。2005年から本格的に活動をはじめ、“シンプルなシステムとある程度の気まぐれ”をモットーに数々のゲームを開発してきた。アクションゲームからシューティング、RPGまで幅広いゲームジャンルを手がけており、2013年にはSteamにてコインを投げて戦うローグライク『Coin Crypt』をリリースしている。
個人制作ということで不安視される開発スピードにかんしては「慎重かつ多くのトラブルを想定してしっかりと納期を設定して作っている」と語っており、自信をのぞかせている。コンソール機での展開にたいしては具体的な言及はしていないものの、意欲的な姿勢を見せている。発売時期はまだ明かされていないが、Tumblrでは定期的に開発の進捗が報告されているのでチェックしてみてほしい。