ダイスとカードで戦うSRPG『Children of Zodiarcs』開発中、『タクティクスオウガ』や『マジック』から影響も

第219回Indie Pickで紹介する『Children of Zodiarcs』は、カナダのモントリオールに拠点を構える新興デベロッパーCardboard Utopiaが手がけるタクティカルRPGだ。現在Kickstarterにてクラウドファンディングキャンペーンを実施している。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第219回目は『Children of Zodiarcs』をピックアップする。

『Children of Zodiarcs』は、カナダのモントリオールに拠点を構える新興デベロッパーCardboard Utopiaが手がけるタクティカルRPGだ。現在Kickstarterにてクラウドファンディングキャンペーンを実施している。ゲーム性はタクティカルRPGの枠には収まらないほど多用な要素から構成されている。

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本作のあらすじは、腐敗した悪の帝国の組織と闘うために若者たちが立ち上がるというものだ。ゲームの進行はステージ制を採用しており、主人公らを捕えようとするエリート警備兵と戦うことが基本的な目標とされている。マス目で構成されたマップのなかで自ユニットを移動させていく、いわゆるシミュレーションRPG要素が強い。敵を攻撃する際に側面や正面から攻撃すると反撃されるが、背面や高所からだと大ダメージを与えられ反撃を受けることもない。またユニットごとに長所や短所などさまざまなパラメータが設定されており、ユニットの性質を把握して行動させる必要があるなど、シミュレーションRPGのお約束を押さえている。開発陣もこの要素について、旧来のタイトルへのリスペクトを持っていることを隠しておらず、『ファイナルファンタジータクティクス』『タクティクスオウガ』『シャイニング・フォース』などのようなゲームを目指していることを公言している。

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しかし単なるシミュレーションRPGのコピーに終わらない魅力が『Children of Zodiarcs』には詰まっている。本作はカードシステムを同時に採用しており、毎ターンカードをドローし、そのカードによって戦局が大きく変わることもあるようだ。今持っているカードを使って相手に大ダメージを与えるか、のちのために置いておくか……といったような選択も多々迫られるようで、シミュレーション要素にさらなる奥深さをもたらしている。このカードシステムは『マジック:ザ・ギャザリング』の影響を強く受けて導入されたのだという。どのカードをドローできるかという部分は運に依存しているものの、デッキの構築は自らが行うものであり、あくまで己の戦略性がゲームの鍵になるとみられる。攻撃やアビリティ、魔法カードなど幅広いカードが用意される予定とされており、カードの特性とユニットの性質にあわせてうまくデッキを組むなど工夫が求められそうだ。 これらのカードはあくまでユニットのレベルアップによって解放されていくシステムであり、課金などで追加されることはないと公言されているので安心してほしい。

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本作はダイスロールシステムを採用している。これは『ファイアーエムブレム』のようなシミュレーションRPGの戦闘時に「戦闘前の攻撃成功確率は95%と表記されていたのに攻撃が外れた」といったユーザーが介入できない行動失敗を解消するために導入されたと開発陣は語る。 ダイスは防御や攻撃といった行動をする際に振られるようで、ダイスの結果は行動の成功や失敗を極端に左右しないものの、ある程度の影響を及ぼすようだ。ダイスは自分の手で事前にカスタマイズすることができ、防御の成功率を上げたければ防御の目を多くしたダイスをステージに持込み、攻撃の成功率を上げたければ攻撃の目を多くすればよい。自分でカスタマイズしたダイスを導入することによって、ランダム性のなかにプレイヤーが介入できる余地が増えるのだという。また、ダイスは物理エンジンによってシミュレートされており、ロールは完全に運任せであることを強調している。求めていた目が出ない時もダイスをもう一度振るチャンスが生まれるなど、運が壊滅的に悪い人のためにも救済措置が用意されているようだ。

世界観やシナリオについてもこだわりをあると語っている。主人公らは孤児であり、退廃した貴族らに掌握され、征服によって繁栄する帝国を変えるべく行動に移すが、逆に追われてしまうことになる。地下道やスラム街などを逃げまわり、ときには山賊や精神病院跡地の地下で人食い族などと戦うことを強いられることもあるようだ。貴族や帝国に立ち向かうという設定や「彼らは人間性を犠牲せずこの汚れた世界を生き抜くことができるだろうか?」というあらすじからは『タクティクスオウガ』のエッセンスが感じられる。開発陣も「僕らは長年のJRPGのファンで、ファンタジーの世界観と印象的なキャラクター、驚きのシナリオを組み合わせたゲームを作りたい、それがこのゲームを開発したいと思うようになったきっかけのひとつだよ」と述べている。

開発チームは『Far Cry 3』や『Assassin’s Creed Brotherhood』、『Eternal Darkness』などAAAタイトルに携わったベテランスタッフによって構成されているようだ。現在はスクウェア・エニックスのインディー開発支援プロジェクトSquare Enix Collectiveなどにも支援されているものの、開発費の55%をKickstarterで補う計画を立てている。27日17時現在ですでに10万ドルの出資が集まっており、まだまだ金額は伸びていくだろう。また、クラウドファンディングの成功や失敗にかかわらず『Children of Zodiarcs』は製品化される予定であることを前もって伝えている。

PC/Mac/PlayStation 4向けにリリースされる予定であり、Xbox One向けは“スタジオの規模がまだ小さい”という理由で今のところ計画していないという 。リリース時期は2016年8月を目指しているようだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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