人類文明が崩壊した世界を「列車」で進む2Dサバイバルアクション『The Final Station』が2016年夏発売

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第217回目は『The Final Station』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第217回目は『The Final Station』をピックアップする。本作は人類文明が崩壊した世界を「列車」にて進んでゆく、2D横スクロールタイプのサバイバルアクションゲームだ。プレイヤーは数少ない生存者たちと協力し、列車を運転しながらまだ見ぬ次の駅へと進んでゆく。

駅と駅でつむがれる生存者たちの物語

現時点で詳細なストーリーは語られていないが、『The Final Station』の世界では多数の「黒い人影」が人々を襲うようになり、人類は終焉を迎えつつある。プレイヤーは生存者の1人となり、「列車」を運転して各駅を移動し、ほかの生存者や残された数少ない物資を見つけなければならない。開発チームは『This War of Mine』を同系統の作品として挙げており、こちらをプレイした人なら容易に全体像を掴むことができるかもしれない。

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路線図から進む駅を選択する

ゲームには30以上の駅が登場し、生存者たちがまだ存在する”生きている駅”と、大量の「黒い人影」によって埋め尽くされた”死んだ駅”が存在する。プレイヤーは死んだ駅にて列車から降り、武器を使って敵を制圧しつつ、取り残された生存者や物資を見つけることになる。見つけた生存者たちはトラブルを引き起こす可能性があるものの、それぞれがプレイヤーの旅路を助ける独自の「Perk(能力)」を持っている。また手に入れた物資はそのまま使うだけでなく、生きている駅にて生存者たちとトレードしたりすることが可能だ。生きている駅では、新たなクエストを請け負うことができるという。『This War of Mine』に似た作品という言葉を信じるのなら、プレイヤーたちが身をひそめる「列車」が「本拠地」となり、それぞれの「駅」が「ほかの生存者グループの拠点」や「探索エリア」のような扱いになるのだろう。

またゲームプレイ面では、列車の細かな操作もプレイヤーに任されている点が特徴で、入手した燃料でどの機能を稼働させるかといった要素も存在する模様だ。サバイバルゲームということもあり、プレイヤーは限られた資源をどのように有効活用するのか、頭を悩ませることになるだろう。

このほか『The Final Station』の魅力としては、列車での移動時や駅の探索時に見えてくる「背景ビジュアル」が挙げられる。時に巨大な廃墟のビル群が、時に大量の戦車が登場する背景は、人類文明がなぜ滅びつつあるのかを伝える役目があると開発チームは説明する。また駅に残された人が去った後の痕跡などから、この駅でなにが起きたのか、どのような人々が住んでいたのかというような物語を、間接的に知ることができるようだ。単なる設定先導の雰囲気ゲームではなく、終末感あふれるギミックを各所に盛り込もうという姿勢はとても期待できる。

なお当初『The Final Station』はKickstarterにて開発資金を獲得することを模索していたが、どうやら後に「tinyBuild GAMES」がパブリッシングを担当することになり、クラウドファンディングを実施せず発売することとなったようだ。海外メディアRock, Paper, Shotgunが、その経緯を語っている

『The Final Station』は2016年夏にリリース予定、現在はSteamで配信されることが明らかにされている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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