なぜ月面基地から職員たちは失踪したのか?80年代レトロSFな新気鋭サバイバルホラーFPS『Routine』が開発中、美麗な最新ショットが公開

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第210回目は『Routine』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第210回目は『Routine』をピックアップする。本作は2011年ごろより開発が続けられている一人称視点のSFサバイバルホラー作品だ。数年前から国内外のサバイバルホラーファンのあいだではひそかに注目を浴びてきたタイトルだが、開発がなかなか進まず一体いつリリースされるのか不透明な状況が続いている。

ゲームの舞台となるのは、研究目的のために設立されたとある月面面地だ。この月面基地では全職員がこつぜんと姿を消すという謎の失踪事件が発生しており、プレイヤーは基地を調査して事件の真相を突き止めることになる。主人公が何者なのか、月面基地で一体なにが待ち受けているのかなど、詳しい物語はまだ明らかにされていない。公開されているトレイラーでは、巡回しているAIロボットとの恐ろしい逃走劇が描かれている。

一人称視点サバイバルホラーは海外では人気のジャンルで、特にインディー界隈では年に数十本のタイトルはざらに発表されている。それでも『Routine』が埋没せず注目を浴び続けている理由はいくつがあるが、魅力の1つがそのレトロSFなビジュアルだろう。1980年代のレトロフィーチャーを元に構築された月面基地は、古めかしい雰囲気がありながらもエレガントで、またゲームエンジンには「Unreal Engine 3」を採用しているというから驚きだ。UIやHUDは除外されており、プレイヤーは深い没入感を味わえるようになっている。

一方で本作は単なる雰囲気ゲームでは無く、ゲームプレイは「危険に満ちた探索」にフォーカスしている。月面基地はノンリニアに進んでいくことが可能だが、ヘルスパックや体力といったシステムは存在せず、死亡すればその場で進行状況はロストされてしまう。プレイヤーはステルスでAIロボットに発見されないよう身を隠したり、あるいはフロッピーディスクで支援ツールを強化しながら生き延びることを目指す。

RT_Vents_Dec2015RT_Warehouse_Dec2015RT_Hydroponics_Dec2015

開発を担当しているLunar Softwareは、Aaron Foster氏とJemma Hughes氏、Pete Dissler氏の3人が所属する英国のインディーデベロッパーだ。2011年9月に設立されて以降、第1段タイトルとなる『Routine』の開発を続けているが、4年以上が経過したいまでもリリース時期は決定されていない。開発が難航しているのかあまり公式サイトは更新されておらず、3点のスクリーンショットが公開された今回のアップデートも数か月振りのものだ(なお今回のアップデートでは、プレイヤー側が各種エフェクトやFOVを調整できることが明らかにされている)。

『Routine』の対象プラットフォームはPC/Macが決定しており、過去にはPS4向けに発売される可能性も示唆されていた。発売時期は現時点でも未定だが、すばらしい作品となることを願いつつ気長に待ちたい。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

記事本文: 1728