「心霊記録家」が主人公のオープンワールド型ホラーゲーム『Sylvio 2』が開発中。撮影機材を使って心霊映像や音声を収録、分析して彼らの声を聞き取れ

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第206回目は『Sylvio 2』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第206回目は『Sylvio 2』をピックアップする。『Sylvio 2』は、映像に映り込む存在しないはずの人影、あるいは音声から聞こえてくる不気味な声といった「心霊映像」や「電子音声現象(EVP)」をテーマにした作品だ。プレイヤーは”ゴーストレコーダー”を名乗る主人公「ジュリエッタ・ウォーターズ(Juliette Waters)」となり、米国ミシガン州にある「サギノー」という町を探索することになる。

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映像を調べ、怪しい声が入っていないか、人影が見当たらないかを調べる

『Sylvio 2』は、2015年6月にSteamやHumble Bundleでリリースされた『Sylvio』の続編だ。制作はインディー開発者の「Stroboskop」が担当。初代はグラフィックなど端々のクオリティはイマイチだが、「レコーダーで収録した音を再生したり巻き戻したりして霊からのメッセージを聞く」という斬新なメカニックがあり、一部の海外メディアに取り上げられるなどひそかな注目を集めてきた。2015年のTIGA Awardsでは、『Bloodborne』や『Dying Light』、『Everybody’s Gone to the Rapture』と共に「ベストオリジナルゲーム賞」にノミネートされている。

『Sylvio 2』では、前作から引き続きゴーストレコーダーであり電子音製現象の専門家である「ウォーターズ」の心霊探検が描かれる。ゲームの舞台は森林火災と暴風雨で廃墟と化したサギノーのファミリーパークで、洪水状態であるにも関わらずウォーターズは徒歩での探索を敢行するようだ。前作『Sylvio』と異なり、今作では映像の撮影機材が登場しており、プレイヤーは絵と音の両方から霊の存在を探しだすことになる。彼らのメッセージを読み解き、パズルを解いて先へ進むというのが、本作の基本的なプレイスタイルだ。

“霊の声を聞く”という設定上、英語のリスニング能力がある程度は必要になるが(ただし字幕は表示される)、『Sylvio』および『Sylvio 2』のホラーゲーム体験はいままでになく斬新だ。レコーダーで収録した不気味なノイズや雑音が、それぞれ”人の形”や”人の声”だとわかった瞬間の背筋が凍りつくような思いは、「電子現象ホラー」とでも言うべきユニークな体験となっている。またゲームデザイン的にも、「ゲームを進めたいので声を聞きたいけど怖い、怖いけど声を聞かなければ進められない」という、プレイヤーへとホラー要素に集中することを迫る構造が素晴らしい。

初代『Sylvio』は現在Steamにて1280円にて販売中。そして件の『Sylvio 2』は、現在Kickstarterにて13万スウェーデンクローナ(約186万円)の開発資金を求めるクラウドファンディングを実施中だ。現在はデモも配信されているので、気になるゴーストレコーダーは霊の声をチェックしてみよう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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