16歳の学生らが開発する『Way to the Woods』が美しい。親子の鹿が奇妙な場所に迷い込むUE4製3Dアドベンチャーゲーム、「もののけ姫」や「千と千尋」の影響も

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第205回目は『Way to the Woods』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第205回目は『Way to the Woods』をピックアップする。本作は2匹の鹿が不思議な場所に迷い込むという設定の3Dアドベンチャーゲームだ。「もののけ姫」からの影響もあるという温かみのあるグラフィックや世界観は、16歳の学生とそのチームによって形作られたそうで、海外ではちょっとした注目が集まりつつある。

開発者のAnthony Tan君は、オーストラリアのメルボルンでハイスクールに通う16歳の学生だ。今まで彼の名が表に出たことはないが、彼が海外フォーラムRedditに『Way to the Woods』のスクリーンショットを投稿したところ、『No Man’s Sky』開発Hello GamesのディレクターSean Murray氏に取りあげられるなどして作品と共に注目を浴びることとなった。開発チームはTan君と、プログラミングを担当している友人のJarad Baker君、Jeremy Warmsley君の3人で構成されている。

『Way to the Woods』はゲームエンジンに「Unreal Engine 4」を採用しており、ほかにも開発ツールとしてMayaやZbrush、またアート製作のためPhotoshopを使用しているという。開発期間は約1年、公開されているスクリーンショットにあるアートはここ2か月で作り上げたそうだ。海外メディア「Inernational Business Times」の取材によれば、『Way to the Woods』はもとは1枚のスケッチから始まり、Tan君はインターネット上にあるUnreal Engine 4のチュートリアルを見ながら最初の鹿をレンダリングしたという。

現時点で『Way to the Woods』の詳細なゲームプレイやストーリーは明らかにされていない。ゲームジャンルは前述のように3Dアドベンチャーとなり、プレイヤーは奇妙な場所に迷い込んだ2匹の鹿を操作する。公開されているアニメーションテスト映像を見ると、開発はまだまだプリアルファ段階という感じだが、特筆すべきはやはりこのセンスが溢れんばかりのビジュアルと世界観だろう。温かみのある動植物の絵と一抹の退廃感が感じられる廃墟の絵が、すばらしい風情を生みだしている。影響を受けた作品としては、スタジオ・ジブリのアニメーション作品「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」、またゲーム作品では『The Last of Us』が挙げられているが、確かにうなずけるところだ。

『Way to the Woods』はまだリリース時期は未定で、今後はインディーデベロッパーとして開発資金を確保することを目指しているという。Epic Gamesが展開しているUnreal Engine 4作品向けの開発支援プログラム「Unreal Dev Grants」にすでに応募しており、ここで受賞を果たせば5000ドルから最大5万ドルの援助金を得ることができる。対象プラットフォームは現時点でPCのみだが、コンソールでのリリースも検討したいと伝えられている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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