実験的な実写ゲーム『Who Must Die』が無料配信中、医者となって”感染者”を判別し駆除する一人称視点ホラーアドベンチャー作品

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第200回目は『Who Must Die』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第200回目は『Who Must Die』をピックアップする。本作は11月のUnreal Engine公式ゲームジャムにて開発されたホラーテイストの一人称視点アドベンチャーゲームだ。現在はitch.ioにて無料配信されており、短く実験的ながらもアイディアが光る作品となっている。

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感染疑いのある3人

プレイヤーの分身となるキャラクターは「医者」であり、薄暗い部屋のなかで監視カメラごしに4人の男たちを見ることになる。1人は守衛、そしてほかの3人は”感染疑いのある人物たち”だ。プレイヤーはこの3人の挙動を監視カメラ越しに観察しながら、いったい誰が感染者なのかを推理し、誰を”駆除”するのかを決断しなければならない。

監視カメラ前の机の上には複数のボタンが設置されており、これらを押すことで感染疑いのある3人の男たちで「実験」をすることができる。とつぜん照明を消したり、音楽を流してみたり、興奮剤を含んだガスを注入してみたり。部屋のなかにある彼らのプロフィールやヒントと照らし合わしつつ、彼らの反応や行動を見て、感染者を割り出していくというわけだ。

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なにやら外の世界では感染事件が起きているらしい。この感染者を駆除する仕事も”前任”が居たそうだ。部屋には護衛用という銃が置かれている

本作は非常に実験的なゲームで、恐らく「1本のゲーム」として遊んで楽しむことはできないだろう。たとえば守衛を各部屋に呼ぶ3つのボタンがあるのだが、これらのボタンをいくら押しても守衛は動かないし、彼は気づくとどこかへと行ってしまう。感染者を選ぶのも写真をクリックしてYES/NOで答えるというシンプルなもので、特にエンディングも用意されていない。ゲームジャムという短い期間のなかで作られたため、あちこちで破綻が見られ、作品としては完成に至っていない印象を受ける。

とはいえ”感染者を区別して駆除する”というコンセプトは斬新で面白い。患者たちに下せる実験やアクションをより増やしてストーリーを練り込んだり、あるいは『Papers, Please』のように駆除する患者を日々選び進んでいくような作品になれば、と思わず想像してしまうところだ。それにUnreal Engine 4で構築された世界と監視カメラを通じて映しだされる実写画面は非常に相性がよく、馴染んでいる。実写ゲームといえば『Her Story』、あるいは『Alan Wake』のいくつかの場面でもテレビ越しに実写映像を見ることができるが、本作はそれを思い起こさせるようなクオリティである。

現時点で製品化の話は出ていないが、今後なんらかの形でこのアイディアが実現することを願いたい。同作はitch.ioにて無料配信中だ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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