「パパ、『魔界村』に出てみたい」から開発が始まったゲーム『Battle Princess Madelyn』、実の娘を主役にしてしまった「魔界村」風2Dアクション

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第198回目は『Battle Princess Madelyn』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第198回目は『Battle Princess Madelyn』をピックアップする。インディーゲームやゲームジャム界隈では、子供の書いた絵をアートワークとして採用したり、子供が考えた世界をゲーム化したりという話をたまに聞くが、本作もそういった流れで開発がスタートした作品のひとつだ。開発スタジオ「Casual Bit Games」の代表であるChristopher Obritsch氏が、「『魔界村』に出てみたい」という娘の夢を叶えたタイトルとなっている。

Obritsch氏は公式サイトにて、「僕の綺麗なお姫様マデリン、5歳のお誕生日おめでとう!きみが登場するビデオゲームだよ!」とのコメントとともに、『Battle Princess Madelyn』を正式発表した。Obritsch氏によれば、マデリンちゃんは大の『魔界村』ファンであり、「一角獣を倒すのを見せて」と何度も何度もせがむほどだという。そしてマデリンちゃんは「『魔界村』に出て一角獣と戦ってみたい」と願っており、父親であるObritsch氏はその願いを叶えるため『Battle Princess Madelyn』の開発をスタートさせたと説明している。

『Battle Princess Madelyn』の開発は1年前からスタートしており、現在のプロトタイプはチュートリアル面と最初の3ステージがフルでプレイできる段階まで出来上がっている。ゲームエンジンにはUnityを使用、また物語はObritsch氏が9歳のころに記したものを大幅に編集して採用している。当時Obritsch氏が飼っていた犬が、幽霊としてよみがえる冒険譚を執筆したという。

ちゃっかり一緒に出演している父親は、過去にAUTOMATONでも紹介したCasual Bit Gamesの前作『Insanity’s Blade』の主人公と似ている

 

トレイラーを見ると、『魔界村』に触れたことのあるプレイヤーならわかるとおり、各種アニメーションからSEまでこと細かに『魔界村』に忠実な2Dアクションとなっている。プレイヤーは様々な武器を投げて敵を倒し、ダメージを受けると鎧が剥がれ、パジャマ状態で攻撃を受けると死んでしまう。最後まで倒れず、各ステージの最後で待ち構えるボス敵を倒せばステージクリアとなる。

なお当然ではあるが、『Battle Princess Madelyn』ではダメージを受けても「マデリン」がパンツ一丁になることはない。

一方で『Battle Princess Madelyn』のゲームプレイにはいくつかオリジナル要素も加えられており、そのひとつが「マデリン」の後方から付いてくる「幽霊の犬」だ。この幽霊の犬は「マデリン」が装備する鎧によって様々な攻撃/チャージ攻撃を放つほか、倒した敵から集めた魔力オーブを消費して主人公をその場で蘇生させる能力を持っている。

Obritsch氏は、『魔界村』の問題点のひとつは死亡するとスタート地点まで戻されてしまう高い難易度であると指摘しており、本作では「敵を倒して魔力オーブを集め続ければ死なない」というデザインが採用されている。何度も死んで緻密に敵のパターンを読むというよりは、登場する敵を次々と倒していくより爽快感のある『魔界村』を目指しているようだ。

なお本作には、従来の『魔界村』の難易度に準じた「ロキモード」が搭載される予定とのことで、古参ファンも安心したい。こちらのモードでは物語冒頭で死ぬマデリンの父親が主人公となり、通常モードとは若干異なる構造のステージを進むことになるという。そして死亡した際には、その場で蘇生するのではなくスタート地点に戻される。

このほかプレイヤーを回復したりステータスをアップさせる各種アイテムや、クリアすれば特殊な報酬が得られるクエスト、シークレットの存在にゲーム難易度調整など、『Battle Princess Madelyn』には『魔界村』には無い様々な要素が盛り込まれている。発売日や対象プラットフォームなどは未定だが、コンソールでの発売も検討しているとのことで、今後色々なところで「マデリンの夢のゲーム」が遊べるようになることを願いたい。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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