永遠に続く砂漠を進む「ひとり」と「不思議な車両」、素敵な空気感に包まれた探索“車両”アドベンチャーゲーム『FAR』が開発中

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第196回目は『FAR』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第196回目は『FAR』をピックアップする。『FAR』は、すでに海が干上がって砂漠が広がってしまった世界を、1人と1台の車両(ビークル)が探索するアドベンチャーゲームだ。砂漠に車両というと映画「マッドマックス」を思い出してしまう諸兄もいると思われるが、本作はむしろ『風ノ旅ビト(Journey)』を思い起こさせるようなしっとりとした空気感が特徴の作品である。

海すらも干上がってしまい、砂漠がどこまでも広がっている世界。プレイヤーは自分の何倍もある巨大特殊車両と共に荒廃した世界を進み、嵐などの危険な天災を乗り越え、いつ終わるとも分からない旅を続けてゆく。プレイヤーの分身となる主人公は何者なのか、この世界でいったいなにが起きたのかなどは、一切明らかにされていない。

ゲームプレイは、情緒ある旅路を描くアドベンチャーゲームパートに、車両を操作する複雑なメカニックが組み込まれている。車両内には様々なボタンが存在し、プレイヤーが踏むことで動作する。燃料の供給、熱したエンジンの冷却、傷ついた車体の修理。風が吹く時には帆を張って燃料を節約しなければならない。燃料がなくなった場合には、プレイヤーが地道に車両を引っ張ることになる。

『FAR』の開発は、スイスのゲーム開発スタジオMr. Whale’s Game ServiceのリードデザイナーであるDon Schomocker氏によって進められている。当初『FAR』は45分以内にプレイできる無料ゲームとして公開されていたものの、その際の反応を見てフルゲームとして開発することを決意したそうだ。すでにパブリッシャーから5万ユーロの開発資金を得ており、今後5か月から8か月をかけて完成させていく予定だという。リリース時期は未定だが、対象プラットフォームはPC/Macとされている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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