発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第191回目は『The Grandfather』をピックアップする。
もしあなたがマニアックでどうしようもないゲームばかりをプレイする人物なら、2015年1月にリリースされた奇作『The Lady』を知っているかもしれない。『The Grandfather』は、その開発者であるMichael Patrick Rogers氏と、同じく奇っ怪な一人称視点ホラーゲーム『Fingerbones』を生みだしたDavid Szymanski氏が手掛けるタイトルだ。奇才と奇才がコラボレーションした結果、とんでもない作品が生まれつつあるようである。
空飛ぶじじいの生首の物語
『The Grandfather』は、一人称視点とポイント&クリックスタイルを組み合わせたホラーテイストのアドベンチャーゲームだ。物語の中心となるのは、夫婦仲が冷めきり妻からぞんざいに扱われ続けている1人の老人で、プレイヤーはこの老人の悲しき物語を追うことになるという。物語のあらすじは以下のように紹介されている。
公開されているデモをプレイすると、詳細を知らなくとも『The Lady』の開発者だなとわかるほど、ゲームの雰囲気やアートワークは独特だ。そしてもちろん今作も気味が悪い。山頂にある屋敷、赤色に光る窓を覗くと、へその緒が繋がった老人がいる。突然、洞窟のような場所へとワープし前へ進むと、千切れた片腕が宙に浮いている。片腕を手に入れると、突如「空飛ぶ老人の生首」を操作するポイント&クリック形式のアドベンチャーゲームが始まり、暖炉から炎を噴出させたり、冷蔵庫から謎の液体を漏れさせたりする。なにを言ってるのかわからないかもしれないが、デモをプレイしてもわからないことだらけなのが『The Grandfather』だ。
ゲームは全9章で構成されており、9部屋分のパズルプレイステージと、9ページ分のコミックブックストーリーが交互に展開されてゆく。このほか、ゲーム内の全アートは手描きで描かれており、またサウンドトラックは「ユーザーによって自動生成される」とされている。
『The Grandfather』は現在Indiegogoにてクラウドファンディングを実施しており、開発資金4785ドルの獲得を目指している。対象プラットフォームはPC/Mac、リリース時期は2016年春を予定。集まった資金が8500ドルに達した場合はPS4、また12500ドルが集まった場合には映画俳優組合の俳優を起用しナレーションを再収録するという。中国の妖怪「飛頭蛮(ひとうばん)」をテーマにした作品か、あるいは『The Lady』のように理不尽にプレイヤーの精神を揺さぶらし続けるタイトルなのか、同作の今後の同行に注目したい。