NSA職員となり“スノーデン事件”を追え、「メール」でプレイするリアルタイムなアドベンチャーゲーム『Top Secret』が開発中

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第186回目は、アドベンチャーゲーム『Top Secret』をピックアップする。

発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第186回目は、アドベンチャーゲーム『Top Secret』をピックアップする。本作は2013年に発生した「エドワード・スノーデン事件」を題材にしたタイトルだ。プレイヤーは米国家安全保障局、通称NSAの職員となり、同事件の真相を”メールのやり取り”で追うことになる。

事件はメール上にてリアルタイムで進行中

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誰が機密情報を漏洩しているのか?

エドワード・スノーデンとは、かつてNSA職員としてアメリカ政府の機密情報に関わる仕事を続けてきた人物である。アメリカ政府による社会監視体制に反感を抱いていた彼は、2013年に香港にて複数のメディアへ機密情報をリーク。監視プログラム「PRISM」の存在や、政府による各国大使館への諜報活動などを明かして、世界中に大きな衝撃を与えた。情報漏えいなどの罪でFBIに追われることとなった彼は、ロシアへと亡命し、現在も同地にて生活を続けている。

『Top Secret』では、プレイヤーはNSAの新職員となる。現在NSAの機密情報が内部からメディアへと流れようとしており、プレイヤーはあらゆる方法を使って流出ルートを特定し、今後の情報漏えいを止めなければならない。NSA内部を調査し最終的には情報源を突きとめることになるが、ときには自身の同僚や友人までもが監視対象となることがある。

『Top Secret』最大の特徴は、「メール」を使ってゲームがリアルタイムに進行する点だ。プレイヤーは自身の名前とメールアドレス、そして志望動機を書いたメールをNSA長官へ送り、ゲームをスタートする。以後、プレイヤーは『Top Secret』に登場するさまざまなキャラクターたちとメールを介して連絡しつつ、ゲームを進めてゆくことになる。プレイヤーがメールに記した単語がキーワードとして検出されるシステムが採用されている模様で、たとえば同僚から「XとY、どちらを監視のターゲットにする?」というメールに対し、「Xをターゲットにしよう」と送れば、同僚はXを監視する。

また開発者のJames Long氏によれば、「リアルタイム」でメールをやり取りするという構造が、ゲームをより奥深いものにするという。たとえばメールが早く返ってくるのであれば、相手は自分に興味があるか、いち早くなんらかの情報を提供しようとしていることを意味する。逆に返信が遅ければ、メール相手は忙しいか、こちらからの問いかけに興味を持っていないことを意味する。プレイヤーの選択によって物語は分岐し、大きく異なる方向へ進むことになる。おそらく一度送ったメールの削除や、やり直しはできないだろう。

『Top Secret』は基本的にメールベースで進むが、Windows/Mac/Linux向けにオフラインでプレイできるデジタル版もリリースされる予定。現在はKickstarterにてクラウドファンディングを実施しており、開発資金8000ドルの獲得を目指している。デモ版も公開されているため、NSAの日常がどのようなものなのか気になるプレイヤーは試しにプレイしてみるといいだろう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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