発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第171回目は、『Blackwake』をピックアップする。『Blackwake』は“海戦”をテーマにしたPC/Mac向けのマルチプレイヤー対戦FPSだ。プレイヤーは船のキャプテンかクルーの1人となり、ほかの船との熾烈な戦いに身を投じることになる。
一致団結して船を動かす「海戦FPS」
ゲームの舞台となるのは18世紀、史実ではカリブ海にて海賊たちが黄金時代を築き、そして没落していった時代だ。『Blackwake』は1マッチごとに勝敗を決める典型的なマルチプレイヤー対戦FPSであり、派閥同士の単純な戦いを描くデスマッチモードに加え、商船やお宝を巡るといったオブジェクティブベースのゲームモードが用意されている。ほかの対戦FPSとの大きな違いは、本作が海戦をテーマにしているという点。各派閥には巨大な船が与えられ、ゲームはその船を中心に進んでゆく。
プレイヤーは海軍や海賊といった組織に所属する「キャプテン」、あるいは「クルー」の1人となる。キャプテンは船を操舵し、クルー全員に指示を出す。クルーは大砲を撃ったり、傷ついた船体やマストを修復したり、船底から水を掻き出したりする。大砲が傷つけば船の攻撃能力は落ち、船体が傷つけば航行速度は遅くなるため、クルーたちは必死に船を修復し敵船に攻撃しなければならない。
こう書くと雑用仕事をせずに船を指揮できるキャプテンの取り合いとなりそうだが、『Blackwake』にて面白いのが、不満がある場合はマッチ中でも「投票」でキャプテンをすげ替えることができるという点だ。ゲーム中にはキャプテン時の勝敗率を表示するキャプテンレートも実装される予定で、無能なキャプテンは即座に惨めな一般船員へと身を落とすことになる。
その一方で『Blackwake』では、砲弾を放てといったキャプテンの命令に従って行動すると、追加のボーナスポイントを獲得することができる機能も搭載されている。ゲーム中では敵をキルしたり船に攻撃を当てたりすることでポイントを獲得することができ、そのポイントを消費してさまざまな行動を実行できるようになるという。つまり、キャプテンの命令を聞いてしっかりと船員が働く船は、より効率よく運用ができるということだ。投票により船内の転覆はいつでも起こりうるが、最終的にプレイヤーたちは一致団結して戦わなければならない。
またゲーム中に登場する船が強大であるのも『Blackwake』の魅力の1つだろう。お互いの船を横並びにして甲板に乗り込むといったプレイはもちろん、船首から相手の船に突っ込むといった派手なプレイもできる。
『Blackwake』では最小で8人、最大で40人が搭乗できるさまざまなサイズの船が登場するとされており、単純に考えれば最大80人のプレイヤー同士で対戦ができるようだ。ブレードにマスケット銃、そのまま鈍器にもなる砲弾などの武器が登場。頭部に装備できるファッション目的のヘッドギアなども登場するが、マイクロトランザクションを導入する予定はない。また「海のモンスター」や「大陸と海にまたがるたシミュレーションバトル」なども実装を検討しているという。
現在『Blackwake』はKickstarterにて1万豪ドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施している。2014年には同様にKickstarterキャンペーンを開始したものの失敗しており、今回の挑戦が2度目になるという。開発チームは『Blackwake』を早期アクセスにてリリースする予定はないと断言しており、Kickstarterで集めた資金のみでゲームを開発しようとしている。
なおKickstarterページでは『Blackwake(リブート)』と名付けられているが、本作は当初、RTS用のタイトルとして開発されていたそうで、そこから現在のマルチプレイヤー対戦FPSへと進化したそうだ。