“父親が自殺する日”を描く三人称視点アドベンチャーゲーム『Skyld』13歳の娘シリヤとなって真相を追う

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第169回目は、『Skyld』をピックアップする。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第169回目は、『Skyld』をピックアップする。本作はデンマークの開発スタジオBubblerapが手がける三人称視点のアドベンチャーゲームだ。どこからかホラーの空気感が漂う本作では、“父親が自殺する日”という重苦しいテーマが描かれる。プレイヤーは13歳の娘シリヤ(Silja)となって、父親が自殺を決意した真相を解き明かし、可能であれば父親の死を止めなければならない。

父親が自殺する日

『Skyld』の舞台となるのは、陰鬱な空気に包まれた1999年のデンマーク。プレイヤーである13歳の娘シリヤは、コペンハーゲンにある古びたアパートに父親と共に住んでいる。数年前の車の事故でシリヤの母親は死亡しており、父親は身体に障害を負ってしまったため、シリヤが身の回りの世話をしている状況だ。

ある雨の日、シリヤは父親に頼まれてドラッグストアへと向かう。20分してシリヤがアパートへ戻ってくると、父親はこつ然と姿を消しており、なぜか床には血痕が残されていた。父親はどこへ行ってしまったのか、彼女はアパートの一室の探索を始める。

『Skyld』は三人称視点のアドベンチャーゲームであり、プレイヤーはシリヤを操作してアパートのさまざまなアイテムを調べてゆく。父親のパスポートや手紙、あるいは煙草やピンコードが記されたメモなどのアイテムを発見し、ストーリーを進めて物語の真相を解き明かす。時にはアパートのほかの部屋や階も探索することになるという。

また詳細は不明だが、ゲーム中には影に隠れて“闇(Darkness)”に捕らえられるのを回避するといった要素が存在しており、どうやらステルスプレイも盛り込まれるようだ。この“闇”とやらが霊的な存在であるのか、父親の自殺に関わる人物なのか、あるいは父親自身なのかは明らかにされていない。

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恐らく『Skyld』最大の特徴は、“若い娘と障害を負った父の2人暮らし”を、嫌なほどリアルに追求してくる点となるだろう。IndieRootなど一部メディアに提供されているプレイアブルデモでは、娘のシリヤの日記を垣間見る1シーンがある。シリヤはその日記に、「お父さんなんて嫌いだ。私をとても酷くあつかう、違う家族が欲しかったわ。寂しいよママ…」と記している。2人の関係は良好なものではなく、雨が振る陰鬱なデンマークの町並みのようによどんでいるようだ。

『Skyld』は2015会計年度Q4にデモがリリースされる予定。正式な配信時期や価格などはまだ決定していない。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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