5人の標的を殺害するホラーステルスゲーム『Tangiers』奇妙な世界で“言葉”を集めて敵を欺く

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第167回目は、『Tangiers』をピックアップする。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第167回目は、『Tangiers』をピックアップする。『Tangiers』は2013年8月にKickstarterキャンペーンを実施し、4万2000ポンドの開発資金を獲得することに成功したプロジェクトだ。デビット・リンチ作品のような奇妙な世界観を舞台に描かれるホラーステルスゲームであり、プレイヤーは5人の標的の殺害を目指すことになる。

分裂した世界と“5人の標的”

プレイヤーは『Tangiers』の奇妙な世界に迷い込んだアウトサイダーである。プレイヤーがこの奇妙な世界に侵入したことにより、『Tangiers』に存在していた都市は分裂し、その断片が各地へと散らばってしまった。プレイヤーは都市の断片を調査して5人の標的を見つけ出し、彼らを殺害しなければならない。標的は誰でどこにいるのか、なぜ殺害しなければならいなのか、そもそもここはどういう世界なのかなど、さまざまな疑問の答えは伏せられている。

開発スタジオAndalusianいわく、本作はLooking Glass Studioが生みだした一人称視点の盗賊ステルスアクション『Theif』のようなゲームになるという。『Tangiers』の世界は自由に行動することができるサンドボックス空間であり、プレイヤーは都市の断片を探索して標的を見つけだし、自身で殺害する方法を決めることになる。邪魔者をすべて倒しターゲットへ強引に近づくのか、それともステルスプレイに徹して敵を付け狙うかは、プレイヤーの決断次第だ。

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頭部がリンゴやテープの人間(?)が闊歩する『Tangiers』の奇妙な世界

また『Tangiers』は崩壊した世界の再構築が1つのテーマとなっている。舞台となる都市の断片は、プレイヤーの行動により干渉を受けた部分が徐々に再構築されてゆく。プレイヤーはそうやって再構築されたエリアを進み、さらに断片化された都市を再構築してゆくことになる。詳細は不明だが、開発陣は「裸のランチ」で知られるウィリアム・バロウズ的なノンリニア形式(カットアップ)でゲームが進んでゆくと説明する。

『Tangiers』の最大の特徴は、「敵の言葉を集めて再構築する」というメカニックだ。プレイヤーは『Tangiers』の住民たちが発した言葉を物理的に具現化して集めることが可能である。さらにこの集めた言葉を使用して敵の気を散らしたり、誤解させたり、誤った情報を拡散したりすることができるという。たとえば不法行為に関する会話で出現した私的な言葉を集めて、都市に隠された謎を解き明かす。ネズミについて話している会話を、虫の大発生について語る会話へと変化させて現実にしてしまう。

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具現化した言葉で敵を欺く

『Tangiers』は英国ブリストルを拠点とするインディースタジオAndalusianによって開発が進められているタイトルだ。所属するのは7人のデベロッパーで、彼らにとって『Tangiers』は第1弾のタイトルとなる。

『Tangiers』は2015年9月3日にベータ版が配信、Steamやitch.ioにて11月15日にフルリリース予定。インディーゲームの魅力の1つでもある尖った作品であることは間違いなく、ホラーファンだけでなく既存の枠から外れた作品を求めている人もチェックしたい作品だ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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