発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第165回目は、『The Birdcage』をピックアップする。
水口哲也氏の『スペースチャンネル5』や、Jonatan Soderstrom氏の『Keyboard Drumset Fucking Werewolf』など、音楽に沿ってゲームプレイが進行してゆく作品はけっして珍しくない。本作はアルバム1枚分の曲展開がまるまる収録された“ミュージックビデオ型ゲーム”である。プレイヤーは重低音の効いたメタルやロックを聞きつつ、逃げ惑う少女となって精神世界をさまようことになる。
「ガンズ」など有名バンドのアーティストら参加
開発を担当する「Capricia Productions」は、ミュージックアルバムと相互に干渉するビデオゲームの制作に特化しようと設立されたスタジオだ。メンバーはそうそうたるもので、ガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト「ロン・タル」を筆頭に、エヴァネッセンスの「ロッキー・グレイ」や「ジョン・ルコンプ」などが参加する。本作『The Birdcage』は、そんな大物ミュージシャンらが手がけるミュージックビデオゲームの第1弾タイトルとなる。
■「Capricia Productions」メンバー
- Ron “Bumblefoot” Thal (Guns N Roses)
- Rocky Grey (Evanescence)
- John Lecompt (Evanescence)
- Ruud Jolie (Within Temptation)
- Rob van der Loo (Epica)
- Mike Lepond (Symphony X)
- Casey Grillo (Kamelot)
- Derek Sherinian (Alice Cooper, Dream Theater, Yngwie Malmsteen)
- Snowy Shaw (Therion, Sabaton, King Diamond, Dream Evil)
- Lisa Middelhauve (Xandria)
- Arjen Lucassen (Ayreon)
- Maor Aappelbaum (Sepultura, Therion, Edgend, Anvil)
- John Rodd (World of Warcraft, Assassin’s Creed, Ice Age, X-Men, Starcraft 2, Call of Duty)
ゲーム自体は「美女と野獣(Beauty and the Beast)」をベースとした一人称視点のアクション・アドベンチャーゲームだ。プレイヤーの分身である貧しくも美しき少女「ジッタ(Gitta)」は、ある日「ブレス(Bres)」と呼ばれる謎の大富豪にさらわれ彼の屋敷に囚われてしまう。ジッタはブレスの仕掛ける罠から逃れつつ、常に変化を続けるブレスの精神の牢獄から逃れなければならない。ゲームエンジンにはUnreal Engine 4が採用されている。
トレイラーの映像を見る限り、本作はパズルを解いてストーリーを進めていくという、よくある一人称視点ホラーゲームだ。一方で本作はロックミュージックアルバム「The Birdcage」としても制作されているプロジェクトであり、ゲームはアルバムの演奏をひと通り最後まで聞く形で進んでゆく。また音楽自体もゲームに影響を与え、音楽とゲームメカニックが相互作用する場面もあるそうだ。
ホラー調のゲームプレイにロックの重低音が響きわたるのは少々シュールではるが、ティーザートレイラーの方はなかなかいい雰囲気だ。『The Birdcage』は2016会計年度Q3にリリース予定。新しい音楽とゲームの融合が見られるのか、今後の続報に期待したい。