『RENOIR』私立探偵は“光の中”では生きられない、渋い白黒ノワール映画風の2.5Dアドベンチャーゲーム

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第142回目は、『RENOIR』を紹介する。本作は『ビッグ・コンボ』や『深夜の告白』など、1940年代から1950年代の“ノワール映画”に影響を受けた2.5Dアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは私立探偵の「ジェームズ・ルノワール」となり、自身の身に起きた襲撃事件の謎を追わなければならない。

ノワールフィルム感溢れる2.5Dアドベンチャー

『RENOIR』の主人公である「ジェームズ・ルノワール」は、犯罪と腐敗が蔓延する街に生きる元刑事の私立探偵だ。ある夜、ルノワールは調査中の事件について新たな証人に会おうとするが、その道中で何者かから銃撃を受けてしまう。襲撃事件から目覚めると、ルノワールは誰に話しかけても気づいて貰えず、また光の中では生きられない死人のような存在となってしまった。プレイヤーはルノワールを操作し、一体誰が自身を襲ったのか、その謎を解き明かしてゆく。

トレイラーを視聴してまず感じるのが、黎明期のノワールフィルムを思わせる白黒映画風のグラフィックと重厚なサウンドだ。ゲームエンジンにはUnreal Engine 4を採用しているという。またノワールに必須な破滅を迎えつつある退廃的な世界観も魅惑的だろう。『RENOIR』の舞台となる街では犯罪が多発しており、警官たちは買収され、身分が低く力も持たない貧民たちは惨めな生活を送っているという。そのハードボイルドな世界観を、主人公ジェームズ・ルノワールによるナレーションが力強く包み込んでくれている。

ゲームプレイの方に目を向けると、本作は様々な謎や仕掛けを解き明かして先へと進んでゆくパズルアドベンチャーゲームである。銃撃を受けたルノワールには、事件現場にて“被害者を再生”する能力が備わっており、この能力を駆使してパズルを攻略するのだ。たとえばトレイラーの途中にて公開されているパズル攻略シーンでは、2人の被害者が障害物となるライトの光やパイプの蒸気を排除する様子が確認できる。

『RENOIR』は2017会計年度Q1にPC/Mac/LinuxおよびPS4/Xbox Oneにてリリース予定だ。現在はKickstarterにて3万9000ドルの獲得を目指すクラウドファンディングを実施している。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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