『The Coral Cave』“沖縄の少女”の物語を柔らかな水彩画で描く、フランス産の完全手描き2Dアドベンチャーゲーム

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第141回目は、フランスのデベロッパーが手がける『The Coral Cave』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第141回目は、フランスのデベロッパーが手がける『The Coral Cave』を紹介する。本作は”日本の沖縄”をテーマにしたマウス&クリックタイプの2Dアドベンチャーゲームだ。海外産の日本をテーマにした作品と聞くと、『Shadow Warrior』のような勘違い日本を描いた作品を頭に浮かべてしまうかもしれないが、本作はその真逆で、美しい日本の沖縄を柔らかく描いている。

 

すべて手描きで描かれる沖縄の物語

『The Coral Cave』の舞台は、沖縄諸島のとある小さな孤島だ。ある日、この島に住む小さな日本人の女の子「ミズカ」は不思議な夢を見て、島に恐ろしい危機が迫りつつあることを知る。プレイヤーはミズカを通して、島中にある不思議で神秘的な世界を探索し、島を危機から救わなければならない。

トレイラーを見る限りでは、パズルや探索を中心としたシンプルなアドベンチャーゲームとなるようだが、やはり本作最大の特徴は、その柔らかな水彩画アニメーションだろう。一見すると、Ubisoftの「UbiArt Framework」を使用した『Child of Light』や『Valiant Hearts』を想起するかもしれないが、3Dモデルにテクスチャを貼り付けているわけではない。これは“水彩画風”ではなく本当に最初から最後まで水彩画で描かれており、ゲーム中に登場するキャラクターと背景はすべて水彩画と紙面のアニメーションにて作られている。公式サイトのメイキングイメージでは、膨大な風景やアニメーション1コマ1コマに着色してゆく、気の遠くなるような作業を確認することができる。

『The Coral Cave』の開発スタジオ「アトリエ銭湯」には、脚本や背景、プログラム作成を担当するオリビエ・ピチャー氏と、キャラクターおよびアニメーション、音楽を担当するセシル・ブラン氏が在籍しており、両者ともフランス人のコミックアーティストである。さらに「2人とも日本の田舎の祭りや伝統に興味があり、古い小路も屋台も好きである」だそうで、1年のあいだ新潟に住んでいたこともあるそうだ。

現時点で『The Coral Cave』のリリース時期は公式サイトに掲載されていないが、対象プラットフォームはWindowsが予定されている。海外から見た日本の沖縄がどのように描かれるのか、今後の続報に期待しよう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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