『Firewatch』火災監視員と女性監督官のひと夏の謎を描く、一人称視点ミステリーアドベンチャー


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。ついに始まったE3 2015。あなたは大作ゲームの情報ばかりを見て、素晴らしい作品たちが登場しているのを見逃してはいないだろうか。今週はコーナー名を一時的に「E3 Indie Pick(2015)」に変更し、E3 2015にてスポットライトが当てられたインディーゲームたちを紹介してゆこう。

第4回目は、SCEのプレスカンファレンスにて紹介された『Firewatch』をピックアップする。本作はPC/Mac/Linux向けにリリース予定とされていたが、今回PS4での発売も決定した。

火災監視員が自然保護区で体験する謎

indie-pick-129-firewatch-002『Firewatch』は、ワイオミング州に広がる自然保護区を舞台にした一人称視点のミステリーアドベンチャーゲームである。時代は1989年、同地区の「イエローストーン国立公園」にて大火災が発生してから1年後。プレイヤーが操作する男性キャラクター「ヘンリー」は、忙しくごみごみとした生活に嫌気がさし、現在は荒野に火災が発生しないかどうかを調べる“火災監視員(Firewatch)”として働いている。

ヘンリーの仕事は山のいただきに立ち、どこかから煙が吹き出ていないかを探し、自然保護区の安全を守ることである。夏の乾燥した暑さによって誰もが保護区から離れるなか、ヘンリーが唯一コミュニケーションを取れる人物は、トランシーバーの向こうから声が聞こえてくる女性監督官「デリラ」だけだ。

しかしヘンリーは仕事を続けていくなかで、こちらを監視するような謎の人影を見かけ、監視塔に何者かが侵入した形跡を発見する。はたしてこの自然保護区でなにが起きているのか。ヘンリーはデリラと共に、ひと夏の謎を解き明かすことになる。

デリラとのコミュニケーションを軸とした探索ゲーム

indie-pick-129-firewatch-001『Firewatch』には、野生動物と戦ったり、食料を探してサバイバルするような要素は無い。プレイヤーは地図とコンパスを頼りに自然保護区を調べるだけで、基本的には一人称視点のストーリードリヴンな探索ゲームとなる。火をしっかり消さずにキャンプしている10代の若者たちに代わって後始末をし、湖で裸になって泳いでいる少女2人を口うるさく注意したりする。インタラクティブ要素が非常に豊富な点は本作の特徴で、さまざまなオブジェクトやアイテムに色々なアクションを取ることができる。

本作において特にメインのメカニックとなるのが、監督官であるデリラとのコミュニケーションだ。火災の原因となる花火から少女が脱ぎ散らかしたブラまで、さまざまな対象にポイントを合わせトランシーバーを取り出すことで、デリラと会話することが可能である。会話中に選択肢が登場することもあり、彼女となにを話したのかによってその関係性がゲーム中に変化してゆくという。

『Firewatch』は、2014年のPAX Primeに合わせて小規模なスタジオ「Campo Santo」から正式発表されたタイトルだ。Campo SantoはJake Rodkin氏とSean Vanaman氏らによって設立されたスタジオである。両名はVGA(現VGX)でGoTYにも選出されたTelltale Gamesの『The Walking Dead』におけるリード開発を担当した人物であり、この手のアドベンチャーゲームは得意分野といったところだろう。事実、まだストーリー的にも謎が多い『Firewatch』だが、どこかノスタルジックな世界観やヘンリーとデリラのウィットに富んだ会話は見ているだけでも楽しい。

『Firewatch』は2015年にPC/PS4向けにリリース予定だ。