盲目の少女が友達の猫を探す『Beyond Eyes』“視界の無い世界”を淡いグラフィックで描く3Dアドベンチャー

第3回E3 Indie Pick(2015)でピックアップする『Beyond Eyes』は、10歳の少女「Rae(レイ)」と、彼女が外へ冒険する際にまわりを見守ってくれる太った猫「Nani(ナーニ)」の物語を描く3Dアドベンチャーゲームだ。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。ついに始まったE3 2015。あなたは大作ゲームの情報ばかりを見て、素晴らしい作品たちが登場しているのを見逃してはいないだろうか。今週はコーナー名を一時的に「E3 Indie Pick(2015)」に変更し、E3 2015にてスポットライトが当てられたインディーゲームたちを紹介してゆこう。

第3回目は、MicrosoftのプレスカンファレンスにてID@Xboxタイトルの1つとして紹介された『Beyond Eyes』をピックアップする。

盲目の少女と猫の物語

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触れることで見えてくる

『Beyond Eyes』は、10歳の少女「Rae(レイ)」と、彼女が外へ冒険する際にまわりを見守ってくれる太った猫「Nani(ナーニ)」の物語を描く3Dアドベンチャーゲームだ。主人公であるレイは、幼い頃に火事で目が見えなくなる事故にあい、それにともなってトラウマを抱えている。とてもうるさい音や、まわりに物が無い開けた場所を怖がるのだ。彼女は家から出ることをかたくなに拒み、自分の庭で自由気ままな時間を過ごしている。孤独に見えるレイだが、彼女自身はふくよかな迷子の猫ナーニがいることに満足している。

しかしある時、ナーニがどこかへと行ってしまい、レイはついに初めて外の世界へと飛び出すことになる。消えてしまった友人を求める旅のなかで、レイは恐怖を克服し、綺麗なものを見つけ新たな友人と出会う。

『Beyond Eyes』にてプレイヤーが画面越しに見るのは、レイが頭のなかで描いている世界である。目が見えない彼女が周囲の地形を把握していないように、最初はすべて”真っ白”な状態だ。しかしレイが物に触れることで、そこになにがあるかを理解することができ、画面上にも実際にその物体が表示されるようになる。また音も本作の重要な要素であり、音が鳴ることでそこになにがあるかを知ることもできる。ほかにも音はパズルを解くためのピースとしても組み込まれており、例えばレイが交差点を渡るときは、車が走る音を頼りにして安全に進まなければならない。

そしてレイが特定した物体だけでなく、レイが見えないことで感じてしまう「恐怖」が黒い霧として画面上に表示される。レイはこの黒い霧を通り抜けることができないため、プレイヤーは彼女に恐怖を克服させる手段を見つけなければならないようだ。

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恐怖に打ち勝たなければ

開発を手がける「Tiger & Squad」は、オランダ出身の女性ゲーム開発者Sherida Halatoe氏によるワンマンスタジオだ。『Beyond Eyes』は2011年に彼女がゲームデザインの単位を取るために開発されたものがおおもととなっており、2014年には『Worms』シリーズで知られるTeaml7とパートナーシップを結んで開発が続けられている。

『Beyond Eyes』は2015年夏にPC/PS4/Xbox One向けにリリース予定だ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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