黒き怪物の少女が「水没世界」を行く、3Dアドベンチャーゲーム『Sea of Solitude』が開発中。「風のタクト」「ワンダと巨像」影響も
発売前や発表されたばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第214回目は『Sea of Solitude』をピックアップする。本作は黒いモンスターと化した少女が水面下に沈んだ世界を進んでゆく3Dアドベンチャーゲームだ。”水没”と言えば、昨年8月にリリースされた『Submerged』を思い出す読者もいるかもしれないが、『Sea of Solitude』はより幻想的で大きくテイストが異なる作品となっている。
孤独を感じた時、人は怪物になる
プレイヤーの分身となるのは、「ケイ(Kay)」と呼ばれる黒い怪物のような外見の少女だ。彼女はなぜ自分がこのような姿なのかを知るため、水没した世界をボートと共に旅している。公式サイトによれば、彼女は旅のなかで同じく黒く巨大な怪物たちと出会うことになるという。『Sea of Solitude』は今年2月に、このわずかなディテールと共に正式発表されたが、美麗なビジュアルやアートワークが一部メディアから注目を集めていた。
さらに今週公開されたAnthony Carboni氏のインタビュー映像にて、クリエイティブディレクターのCornelia Geppert氏は本作のさらなる詳細を伝えている。それによれば、『Sea of Solitude』の世界では「孤独」を感じると黒い怪物へと変貌してしまうというルールがあるのだという。つまりケイが怪物となりつつあるのは孤独を感じているためで、また旅の途中で出会う巨大な怪物も元は人間だったということである。
世界のルールを知ったケイは、自分がどうすれば元の人間に戻れるかを求め、さらに旅を続けることになる。危険な道のりを進み、パズルを解いて道を開き、時には黒い巨大な怪物たちと協力する。広大な海の世界のなかで、それぞれの巨大な怪物たちはある種のフィールドのようなものを持っており、その中に入ることで彼らに会うことが出来るようだ。そのシーンは前述のインタビュー映像の2:35ごろから確認できる。
開発を担当している「Jo-Mei Games」は、現在まで『KOYOTL』や『Monkey Bay』といった無料ブラウザーゲームを開発してきたスタジオだ。カジュアルな過去作品と比べるとガラリと雰囲気が変わった『Sea of Solitude』は、多数の日本の作品から影響を受けているといい、例として『ゼルダの伝説 風のタクト』『ワンダと巨像』『サイレントヒル』さらには「スタジオジブリ」の映画作品などが挙げられている。確かにスクリーンショットなど見ると、ビジュアルスタイルは『風のタクト』、巨大な怪物は『ワンダと巨像』、世界観はどことなくジブリ作品を思わせる。ところどころに散りばめられたホラー感は、『サイレントヒル』の系譜を感じる、と言えなくもないだろうか。
現在リリース時期や対象プラットフォームは明らかにされておらず、また開発段階もまだプロトタイプとされているため、『Sea of Solitude』をプレイするにはもうしばらくの時間が必要となりそうだ。