発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たこと無いような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第682回は、2000年代風のローポリゲーム『The Chameleon』を紹介しよう。インディースタジオMerlino GamesがPC向けに開発しており、現在はデモ版を配信中だ。
『The Chameleon』は敵に見つからないように目的達成を目指すステルスアクションゲームだ。記憶を失い目覚めた主人公は、ロボットの警備兵がひしめく謎の施設からの脱出に挑む。しかし、ここでひとつ問題があった。主人公はなぜか真っ赤なアロハにジーパン姿なのだ。スニーキングミッションにあるまじきド派手な出で立ちである。このままではたちまち発見されざるを得ないが、彼に救いの手が差し伸べられる。とある出来事から、相手そっくりの姿に擬態できる変身能力を身につけたのだ。時にロボットへと身を変え敵の目をかい潜りながら、出口を目指し道を拓こう。
ステルスゲームで敵の姿にモーフィング、といえばかなり甘美な響きだが、もちろんそれだけで万事うまくいくわけではない。というのも相手の姿に化けていられるのは、ほんの数秒ほどの一瞬なのだ。ずっと変身したままあちこちをウロウロと探索することはできない。むしろ警備ロボットをギリギリまで引きつけ、すれ違うその一瞬に身を変えてすり抜ける、といった使用法がメインとなる。また主人公にはエネルギーゲージが存在。変身を使ったり、ダッシュしたりするとゲージが底を尽きてしまう。なんとか変身で切り抜けて、すぐにダッシュで距離を取ろうとしたらエネルギー切れ……という苦い状況も少なくない。
なお攻撃方法は存在するものの、身体能力は高くないためリーチが短く隙も大きいパンチ1本頼りとなる。おまけに相手を殴りかかるにはフルエネルギーが必要となり、放ったあとは5秒間ゲージが回復できない。変身でしれっと近づいてダウンをとる、という戦法を選択するにしてもエネルギー残量の問題でかなり厳しいため、慎重な動きが必要となるはずだ。主人公は敵から一発殴られるとアウトのため、いずれのアクションをとるにしても一発勝負が基本となる。鍵となるのは「口笛」で敵を引きつけるコマンドだ。物陰で注意を引くと必ずその地点まで確認にやってくるため、その瞬間に変身してやり過ごすか、別の物陰から飛び出してノックダウンを狙うかという選択が有効だ。ゲームが進めばテレポートやオブジェクト召喚といった能力も獲得できる。
『The Chameleon』は2021年中頃にSteamなどでリリースを予定している。デモ版はitch.ioより無料で入手可能だ。