無線で指示するRTS『Radio Commander』開発中。ベトナム戦争でのミッションを、無線を駆使して遂行せよ

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第623回目は『Radio Commander』を紹介する。本日6月1日は「電波の日」である。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第623回目は『Radio Commander』を紹介する。

本日6月1日は「電波の日」である。現在日本の電波について規定している「電波法」という法律が施行されたのが1950年の6月1日のことだ。1945年の終戦以後、日本の電波の監督権限を握っていたのはGHQであったため、その日を日本に電波の主権が帰ってきた日と見なすこともできる。後にその日は記念日として制定され「電波の日」ということとなった。さて、そんな記念すべき日にご紹介するのはこちら、『Radio Commander』である。

一風変わったRTS

『Radio Commander』は、ベトナム戦争の中でも1965年~1967年を舞台にしたRTSである。プレイヤーはアメリカ陸軍の戦場指揮官となり、部隊に命令を下して敵を撃破するなどのミッションをこなすことが目的となる。南ベトナム解放民族戦線、通称ベトコンが主な相手だ。このゲームには他のRTSには見られないユニークな点がある。それは無線を使って部隊を指揮するところだ。

すべては無線を介して行われる

通常のRTSでは、プレイヤーは戦場をはるか上空から見下ろした俯瞰視点、所謂神の視点によってプレイすることが多い。配置された部隊をクリックして命令を与え、敵を殲滅する。索敵や戦場の霧の影響は受けるが、味方部隊も敵部隊もプレイヤーは直接見ることができ、その上で戦略を巡らしゲームを進めていく。しかし本作は、そういった他のRTSとは、趣を異にしている。プレイヤーは、前線からやや後方に離れたテントの中から無線で味方部隊に指示を送ることになる。そこにあるのは、無線機とテーブルに置かれた作戦地図だけだ。味方部隊も敵部隊も直接目にすることはできない。味方部隊からの無線を介した状況報告を頼りに、敵の位置を特定し、作戦地図上に駒を置いたりペンで書き込むなどして戦況を把握する必要がある。

プレイヤーが行うことになる無線連絡は、コマンドを選択することで可能になるようだ。①通信する相手、②報告か指示か、③通信内容。これらを選択することで無線通信が始まり交信することができる。プレイヤーはこのように無線を駆使して部隊を勝利に導くことになる。まさに無線(Radio)指揮官(Commander)となるわけだ。

このような一種の限定性を敷いたRTSになることで、他のRTSでは味わえない深い没入感が得られると開発者は語っている。確かに、味方部隊がやられた時など違った印象を受けることになりそうだ。他のRTSでは味方のユニットが撃破された場合、歩兵であれば地に伏すようなアニメーションが表示された後ユニットが消滅するといった表示処理がされることが多い。しかしこのゲームでは、先ほどまで話していた相手との交信が突然途絶え、何度呼びかけても応答しなくなるといったことになる。これはプレイヤーに、従来の作品とは異なるショックを与えることになるだろう。

9つのミッション、15種類のユニット

『Radio Commander』には、いくつかのミッションと豊富なユニットが用意されている。ミッションは9つあり、それぞれ達成する目的や扱えるユニットの数や種類が違う。また、どのミッションも異なった方法でクリアできる自由度があるとのことだ。登場するユニットは15種類。歩兵、輸送ヘリ、攻撃ヘリ、野戦砲、偵察機、M113装甲兵員輸送車、ナパーム弾を搭載したF4ジェット戦闘機といったユニットを味方部隊として扱える。またプレイヤーは爆撃命令やナパーム弾の投下命令を出して味方を支援することが可能だ。その際には味方部隊の位置をしっかり確認して彼らにダメージが及ばないよう気を付けよう。

リアリスティックなストーリー

開発者は、ゲームやミッションのその背景に用意されたストーリーにも注目してほしいと語っている。米ソ対立の中、その代理戦争の戦場という過酷な状況に囚われてしまったベトナムの人々。暗躍するCIAや冷笑的な政治的圧力の間で翻弄されるベトナムの人達の難しい問題について、目をそらさず描いてるとのことだ。『フルメタル・ジャケット』や『地獄の黙示録』といった古典的戦争映画の名作を引き合いに出しながら、「これは愛国的なアクション・ムービーではない」と述べている。戦争とそこにいる人々について、意欲的に表現しようとしているようだ。

ポーランドの会社が開発

『Radio Commander』の開発を行っているSerious Simはポーランドの首都であるワルシャワを拠点としている会社だ。米ソ冷戦時代、ポーランドにある会社がベトナム戦争を舞台にした、しかも米軍側となって戦うPCゲームを作る未来が訪れるなど誰が想像し得ただろうか?そういった意味でも、このゲームは興味深い。

『Radio Commander』は2019年の夏頃PC(Steam)にてリリース予定。残念ながら日本語対応は予定されていない。戦場において無線がいかに重要なツールであるか、本作をプレイして確かめよう。

Yoshinori Sato
Yoshinori Sato

生産、管理、最適化。そういった要素が楽しめる都市育成ゲームや経営ゲームを好んで貪るゲームプレイヤー。サバイバル要素も気になります。

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