潜艦ローグライト『Nauticrawl』開発中。窓のない船で、レーダーやゲージを頼りに惑星脱出目指す
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第619回目は『Nauticrawl』を紹介する。
『Nauticrawl』は、奪い取った謎の船Nauticrawlのコックピットに乗り込み、未知の惑星を探索するローグライク要素を含むシミュレーションゲームだ。 密閉されたコックピットの中から見えるのは、何を示しているのかわからないメーター、抽象的なレーダー、そしてアスキー文字しか表示されないモニターだけ。 プレイヤーは惑星の様子を直接見ることなく、そこから逃げ出す道筋を探さなければならない。 イタリアのゲーム開発者Andrea Interguglielmi氏を中心に、Steamでの2019年中の発売を目指して現在開発が進められている。
未知の惑星で奴隷として働かされているあなたは、この惨めな人生から抜け出し、生まれ故郷の惑星へと帰るためにNauticrawlを奴らから盗み出す。しかしいざ舵を取ってみると、その操作方法がさっぱりわからない。船内を埋め尽くす大量のレバー、ボタン、ゲージ、どれをどう触れば船は動くのだろうか?あなたはこの謎の船の操縦法をマスターし、未知なる惑星を探索して自由を手に入れなければならない。さもなくば、待つのは死のみだ。
プレイヤーはNauticrawlのただ一人の船員としてコックピットに乗り込み、一人称視点でこの船を操縦し惑星を探索することになる。 潜水艦のような印象を受ける内装だが、問題は窓が無いということ。 これから探索する惑星の外の様子を、プレイヤーは直接見ることができないのである。 そのため、コックピットのモニターやゲージ類から得られる抽象的な情報だけを頼りに、周囲の状況を想像しながら移動しなければならない。 PVではソナーに検出された敵らしき対象から攻撃を受ける場面が描かれており、未知の惑星が危険に満ちた環境であることは間違いないだろう。 大ダメージを受けて船内のモニターが故障する様子も示されており、探索は一筋縄ではいかなさそうだ。
The Gazette of Independent Gamingによる本作の開発者Interguglielmi氏へのインタビューによると、 本作では意図的にチュートリアルを実装していないとのこと。 つまりプレイヤーは、主人公とまさに同じ立場で、Nauticrawlの操縦方法や謎めいたゲージの意味するところを手探りで理解しなければならないということだ。Nauticrawlには隠されたさまざまな機能が用意されており、通信の傍受やデバイスへのハッキングもできるとのこと。 プレイヤーが操縦をマスターし、Nauticrawlの能力を引き出すことが、惑星から脱出するためのカギになることだろう。
一見シミュレータのようなゲーム画面が特徴的な『Nauticrawl』だが、そのゲーム性は『Rogue』直系のダンジョンRPGそのものであるそうだ。 古典的なローグライクゲームの持っていた要素を噛み砕き、Nauticrawlのコックピットに再構築しているとのこと。 たとえば、本作が強く影響を受けたという90年代のダンジョンクローラーやローグライクは、アスキー文字だけで未知なるダンジョンや巨大なモンスターを表現していた。 『Nauticrawl』では、「船内からは未知なる惑星の環境を直接見ることができず、アナクロな観測装置が出力するテキストと記号から想像するしかない」という舞台設定によって、ローグライクと同様の体験を作り出している。 まるで見下ろし型マップのように出力されるレーダーの観測結果や、逐一テキストでモニターに表示される行動ログなども、ローグライクを強く想起させる部分だ。 探索するマップはもちろんランダム生成で、「階段を降りて下のマップへ移動する」というお馴染みのシステムも別の形で実装されているそうだ。
本作はイタリアのゲーム開発者Interguglielmi氏によってほぼ一人で開発が進められているようだ。 『Nauticrawl』は、ディズニーの『海底2万マイル』やSF作家フランク・ハーバートの『デューン』から得たスチームパンク/潜水艦/オーニソプターのイメージと、こよなく愛するダンジョンクローラーとコックピット・シムを組み合わせたら驚くほど面白いものになった、という経緯で生まれたとのこと。 販売は、これまで『Kingdom Rush』などスマートフォン向けゲームを中心に開発してきたArmor Gamesのインディーゲーム部門Armor Games Studiosによって行われる。 また、今のところ日本語対応の予定はないようだ。
【UPDATE 2019/4/7 14:30】
タイトル表記を修正。