口と舌を緻密に動かし“上手に喋る”ことを目指す『Speaking Simulator』開発中。ロボットが会話という困難な行動に挑む
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第585回目は『Speaking Simulator』を紹介する。
本作は言葉の発声をテーマにしたシミュレーションゲームだ。プレイヤーはプロトタイプの人型ロボットとなり、口や舌を操作して言葉を紡いでゆくことになる。ロマンチックな会話や、医師の診察など、さまざまなシチュエーションで人間と対話をしよう。そして可能な限り自然に振る舞い、自身がロボットであることを隠し通すのだ。操作を誤れば、顔面はショートし、耳や目玉のパーツも飛び出す。たちまち、正体に疑いを抱かれてしまうだろう。
人型ロボット達は起動と同時にAIからひとつの指令を受け取る。その内容は「人類に溶け込め」。ロボット達は指令を達成するべく、人々と話すという非常に危険で困難な任務へと挑む……というのが本作の物語だ。任務の達成には、いかなる場面でも自然で滑らかな対話が求められることだろう。そのために重要となるのは口や舌の動きだ。
しかし常に口や舌の動きを意識しながら会話をしている人は稀だろう。ましてやそれが英語となるとハードルを高く感じる向きも少なくないかもしれない。その点、本作では常に口や舌をどの状態に維持すべきかガイドが表示されるため、新人ロボットでも安心だ。会話シーンではロボットの顔と、口腔内の断面図が表示される。発声すべき言葉に応じて、口をすぼめたり、広げたり、あるいは舌を口腔内のスイッチに触れさせて滑らかに単語を紡いでいこう。
ただし、操作には時間制限が設けられている。話し相手が単語と単語の間で不自然な間を空けたり、唐突に黙り込んだならば不自然に感じるのは当然だろう。操作ミスを連発してしまえばロボットの感情システムは停止し、やがてオーバーヒート状態に陥る。対話相手には疑惑メーターが設けられており、不自然な会話はもちろん、悲劇の物語を語っている際にロボットが満面の笑顔を浮かべていれば相手の疑惑は深まる。メーターが最大値に達すると正体が露呈してしまうため十分に注意が必要だ。人間に成り代わるべく、正確な操作を心がけよう。
『Speaking Simulator』の対象プラットフォームはPC(Steam)で、2019年初頭のリリースを予定している。