巨大ロボットがバスケするイライラ対戦ゲーム『Regular Human Basketball』開発中。ひとりで・みんなでロボット内を駆け回り操縦

まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第560回目は『Regular Human Basketball』を紹介する。「普通の人間のバスケットボール」と名付けられた本作は、文字通りバスケットボールゲームなのだが、選手はなぜか巨大なロボット。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第560回目は『Regular Human Basketball』を紹介する。

対戦型ダンジョン探索アクションゲーム『Crawl』開発元として知られるオーストラリアのインディースタジオPowerhoofが、現在『Regular Human Basketball』をPC向けに開発中だ。「普通の人間のバスケットボール」と名付けられた本作は、文字通りバスケットボールゲームなのだが、選手はなぜか巨大なロボット。プレイヤーはその“中の人”としてロボットを操縦し、試合での勝利を目指す。ただし、華麗なドリブルやスピード感あふれる試合展開を期待してはいけない。本作のトレイラーをご覧いただければ、その意味が分かるはずだ。

本作は二人の選手(ロボット)がバスケットボールの試合をおこなう対戦ゲームで、2Dグラフィックを採用。コートの両端にゴールが設置されているので、ボールを奪い合い、制限時間内により多くのゴールを決めた方が勝利だ。ルールとしては、とてもシンプルである。しかし、ロボットを操縦するゲームプレイはそうシンプルではない。

前述したように、プレイヤーは選手の“中の人”である。試合が始まると、プレイヤーはまず自チームの巨大ロボットに向かい乗り込む。ロボットの内部は、楕円状の空間にいくつかの部屋が配置されており、それぞれに大きなスイッチがある。これをオン/オフすることで、ロボットを操縦できる仕組みだ。スイッチは全部で10個あり、3つのカテゴリに分けられている。

上に掲載した画像と合わせて確認したいただきたいが、まず下層部にある黄色のスイッチはロボットの足を操作するもので、上下左右の4種類がある。上と下のスイッチは、足を伸ばしたり折ったりしてロボットの姿勢を上下に動かすもので、左と右のスイッチは左右への移動だ。中層部にある3つの赤いスイッチはマグネットアームの操作である。マグネットはボールを掴む手に相当し、左右のスイッチでアームをロボットの体に沿って右および左回転できる。そして、中央のスイッチを押すとマグネットが有効になり、近くにボールがあれば吸着できる仕組みとなっている。

そして上層部の3つの青いスイッチは、ブースターの操作を担当。こちらもマグネットと同様に左右に回転でき、中央のスイッチでブーストオン。ブースターが上に向いていれば、ロボットは宙に浮くことができる。それぞれのスイッチは、オンにすればオフ操作するまでずっと有効になっているため、複数のスイッチを同時に操作できる。なお、たとえば左と右の移動スイッチを同時に押した場合は、相殺されてロボットはどちらにも動かない。

 

これらのスイッチを操作して、ボールのある所まで移動し、姿勢とアームの位置を合わせてマグネットでボールを掴む。そしてゴール下まで移動していき、ブースターでジャンプからのダンクシュート、というのが基本的な流れとなる。ただ、ひとつひとつの動作を離れた部屋にある各スイッチを操作しておこなうため、実際にはそうスムーズにはいかないだろう。また対戦相手もいるため、試合では予想外の展開が数多く訪れるはず。ボールをロストするたびにロボットを移動させ、姿勢とアームの位置を調整するために、ロボット内をせわしなく走り回らなければならない。もし、相手のロボットと衝突するなどして転倒してしまうと、ブースターも駆使して立て直す必要がある。

本作はローカルおよびオンラインのマルチプレイに対応しており、チームを組んで役割分担することで、そういったイライラは幾分か緩和されるかもしれない。対応人数は2人以上とされているが、スクリーンショットを見る限り、少なくとも4対4での対戦をサポートするようだ。それでも、コミュニケーションがうまくいかなければ、逆に状況は悪化するだろう。ただ、それが本作の面白さであり、パーティーゲームとしての楽しさを提供する要素となっている。うまく連携を取れれば、ブースターとマグネット操作を組み合わせてロングシュートを打ったり、相手のシュートをブロックしたりと、よりバスケットボールらしい動きができるはず。

ちなみに、プレイヤーは自チームのロボットだけでなく、対戦相手のロボットに乗り込むことも可能だ。劣勢になった際などにこっそり侵入し、勝手にスイッチを操作してプレイの邪魔をすることができる。1対1の試合で自らのロボットを離れるのはリスクが大きそうだが、複数人でチーム対戦する際には、誰かを工作員として送り込む戦略は有効だろう。うまくいけば、オウンゴールを決めさせることもできるかもしれない。試合が終了すると、各プレイヤーのスイッチ操作を隠したリプレイが再生される。それが“普通の人”同士の試合に見えるかどうかは、ゲームの展開次第だ。

本作は、もともとマルチプレイをテーマにしたゲームジャムにて制作された作品で、壺男こと『Getting Over It with Bennett Foddy』で知られるBennett Foddy氏が手がけた『QWOP』と、モバイル向け作品『Spaceteam』から影響を受けて開発されたという。『QWOP』は、陸上選手の左右の太ももとふくらはぎ部分を、それぞれQ/W/O/Pのキー操作で動かして走らせるゲーム。一方の『Spaceteam』は、プレイヤーごとに異なるスイッチが画面に表示され、指令をこなして宇宙船を航行させる協力マルチプレイゲームである。うまく動かせないもどかしさと、役割分担した協力プレイが、本作のロボット操作に取り入れられているのだ。複数の部屋を駆け回りスイッチを押して操縦する様子は、協力スペースシューター『Lovers in a Dangerous Spacetime』風でもある。

そのゲームジャム版をブラッシュアップしたバージョンが、2015年からitch.ioにて無料配布されており、現在開発されているのはそのアップデート版だ。もともとローカル対戦のみの対応だったが、オンラインプレイが追加され、コートは複数の種類が用意される。各コートは背景だけでなく、傾斜や段差など地形にも違いがあるようで、試合展開への影響は大きそうだ。そのほか、ゲームプレイの調整やアート・サウンドトラックの追加もおこなわれる。『Regular Human Basketball』は、Steamにて2018年内に発売予定だ。興味のある方は、まずは無料版を試してみてはいかがだろうか。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6885