物理演算で戦場を”真面目に”シミュレートする『Total Tank Simulator』開発中。一度の指令で戦いを支配する極太戦略ゲーム
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第553回目は『Total Tank Simulator』を紹介する。
本作は多くのフォロワーを生んだバトルシミュレーター『Ultimate Epic Battle Simulator』の影響を感じさせる、第二次世界大戦を題材とした戦略シミュレーションゲームだ。しかし単なるフォロワー作品では終わっておらず、ヨーロッパを中心とする国毎に用意されたキャンペーン、戦闘に勝利することでアンロックされていくユニット、オフィサーの雇用やカード収集といった要素を取り入れた骨太な作品となっている。さらにオンライン対戦はもちろん、他のバトルシミュレーター同様にサンドボックスモードで史実の戦いを再現するといった楽しみ方も可能だ。
シングルプレイヤーキャンペーンでは、ヨーロッパ戦線を戦った国のうち六か国。すなわちソビエト連邦、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、アメリカのいずれかを選んで進めていくことになる。先述のとおり、それぞれの国ごとに専用のキャンペーンが用意されているので、個性豊かなユニットを指揮して自陣営に勝利をもたらそう。キャンペーンモードは作戦準備と戦闘を繰り返しながら進めていく形となる。苛酷な戦闘に勝利を収めるためにも、自分の展開する作戦をイメージしながら準備をおこなっていこう。
戦場の主役となるユニットの種類は国毎に異なる。たとえばソビエト連邦ならば、史実で最も活躍した戦車T-34や、ソ連初の本格ジェット戦闘機Mig-9などが利用可能だ。これらのユニットを、与えられた予算の範囲内で購入/売却/修理しながら戦力を整える必要がある。ただし最初からすべてのユニットを利用できるわけではない。購入できるのは技術ツリーでアンロックされたユニットのみだ。新たなユニットは戦闘に勝利した際の報酬として徐々にアンロックされていく仕組みとなっている。
戦闘時には、さまざまなボーナスをもたらすカードやオフィサーといった要素も存在する。それぞれ3枚/人ずつ戦場へと持ち込むことができ、中型戦車の射程距離を延ばしたり、小型戦車の防御力を上昇させるといった効果が得られる。たとえば戦車で侵攻を止め、その隙に航空戦力で敵の中枢を叩く作戦ならば、戦車には防御系の効果を、戦闘機には移動速度上昇系の効果を付与すれば、戦況をより優位に運ぶことができるはずだ。よく吟味しよう。
準備が終わったなら、いよいよ戦場へと向かう。指揮官たるプレイヤーには数人の部下が付いており、彼らが次に向かうべき戦場を提案してくれる。どこから戦いを始めるかは自由だ。なお、部下にはリスペクトという忠誠度のようなパラメータが設定されている。リスペクトは戦闘に勝利することで上昇し、敗北したり提案を却下すると減少する。ゼロになると部下に見限られてしまい、ゲームオーバーとなるため注意が必要だ。部下のご機嫌取りも上司の仕事というわけだ。
戦場では、敵勢力と東西に分かれた形で布陣することになる。自分の陣地内であれば、各ユニットをどこに配置するのも自由だ。ただしキャパシティと呼ばれる上限が設けられており、全戦力を投入して敵を圧倒する……ということはできない。あくまで戦略を重視したゲームデザインということなのだろう。各ユニットにはコストが設定されており、歩兵などの弱いユニットはコストが安く、重戦車などの強力なユニットは高い。配置ユニットの合計コストがキャパシティ以下に収まるようにうまく調整しよう。質より量か、量より質か。決めるのはプレイヤーだ。
配置を終えたなら、それぞれのユニットに簡単な指示を出すことができる。ヒット&アウェイ戦法で指示した敵グループを攻撃する、防御に専念し遅滞戦闘に持ち込む、歩兵を敵の航空施設へと向かわせて占拠する……など、シンプルながら多彩な指示をおこなうことが可能だ。ひととおり指示を出したら戦闘の始まりだ。戦闘中は基本的には見守るのみとなる。指示を出し直すことは出来ないため、作戦成功を信じて自勢力の活躍を応援しよう。なお、他のバトルシミュレーターと同様に、任意の自陣営ユニットをプレイヤーが操作することも可能だ。自らの手で戦況をひっくり返すことができるか挑んでみるのも良いだろう。
見事勝利を収めれば、報酬として強力なユニットが貰える。また、新たに利用可能なユニットがアンロックできることもある。戦闘で失われたユニットを補充し、必要に応じて修理をおこなったら、新たな戦場へと向かおう。こうして戦いを繰り返し、敵対する国々を打ち破ってヨーロッパの運命を決めるのが指揮官たるプレイヤーに課せられた使命なのだ。
『Total Tank Simulator』の対象プラットフォームはPC(Steam)で、リリースは2018年中を予定している。なお、ストアページからデモ版の配布も行われているため、興味のある方はそちらからプレイしてみると良いだろう。