折り紙から着想を得たパズルゲーム『A Fold Apart』開発中。ステージを“折って”足場を繋ぎ、遠距離恋愛の恋人たちの心を結ぶ


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第551回目は『A Fold Apart』を紹介する。

カナダに拠点を置くインディースタジオLightning Rod Gamesが現在開発中の『A Fold Apart』は、遠く離れて暮らす恋人たちの遠距離恋愛をテーマにした3Dパズルゲームだ。折り紙やペーパークラフトから着想を得たというユニークなシステムを、パズルのメカニクスに採用していることが大きな特徴となっている。

『A Fold Apart』に登場するキャラクターはAlexとSam(どちらも女性と男性、好きな組み合わせに設定可能)。恋人同士であるふたりは、それぞれが選んだ仕事の都合により離れて暮らすことになる。お互いテキストメッセージのやり取りは頻繁におこなっているものの、直接会えないことからくる誤解は避けられず、感情のもつれがが生じてしまう。本作でプレイヤーは、パズルを解いてキャラクターを導き、二人の間に現れたハードルを乗り越える手助けをする。

本作は、2.5Dグラフィックの横スクロールアクションゲームのような形で、プレイヤーは星のアイテムを求めてステージを進む。ステージは、四角い紙に描かれたイラストを何枚も並べて繋げたようなスタイル。それぞれの紙には異なる風景が描かれているものの、キャラクターが歩く足場が繋がっていれば、次のイラストへと進むことができる。しかし、時折その足場が繋がっておらず、そのままでは先に進めない場面に直面する。キャラクターは僅かな段差くらいならよじ登ることができるようだが、ジャンプはできない。そこでパズルを解くのだ。

プレイヤーはステージが描かれた紙に対していくつかの操作が可能で、たとえばクルッとひっくり返すことができる。紙の裏面には別の風景が描かれているため、表面に足場が描かれていなくても、裏面に先に繋がる足場が描かれていれば、ステージを進むことができるというわけだ。では紙のどちらの面も、足場が左側半分までで途切れている時はどうするか。紙は折ることもできるので、この場合は裏面の足場が表から見えるよう紙の右側を少し折り返せば、両面の足場を繋げることができる。

紙は横や縦だけでなく、斜めにも折ることが可能。紙にキャラクターを乗せたまま裏返せば、キャラクターも裏面に行ってしまうので、そこから折り返してキャラクターを表に出すなど、さまざまなパズルがプレイヤーを悩ませる。本作が折り紙から着想を得たというのは、こういった仕組みを指しているのである。

ゲームには重力の要素もあり、たとえば紙(ステージ)を90度回転させて、それまで壁だったところを足場にして進んだり、乗ると消える足場で下層へ落下したり。また、押して移動させることができる箱を使ったパズルもあるため、これも所定の場所まで持っていくためには重力と折り紙の組み合わせがカギとなりそうだ。本作には合わせて50種類以上のパズルが収録されるという。そのほか、AlexとSamのテキストメッセージなどを通じて、離ればなれに暮らす二人の物語が描かれる。

遠距離恋愛という本作のテーマは、開発元Lightning Rod Gamesの共同設立者Mark Laframboise氏自身の実体験がもとになっているという。Laframboise氏は恋人のRobynさんと結婚するも、お互いの職場が遠く離れていたことで、長い間一緒に暮らすことが叶わなかった。なかなか直接会えないことを辛く感じる時期もあったそうで、二人を繋ぎ止めているのはお互いへの信頼だけだったそうだ。こうした経験があり、またゲームではあまり扱われていないテーマでもあったため、『A Fold Apart』を制作することを決めたという。

本作は、現在ゲーム専門クラウドファンディングサイトFigにて開発資金を募っている。本高執筆時点で残り24日、初期目標金額4万5000ドル(約490万円)に対して6300ドルほどが集まっている状況だ。必要な資金の大部分はすでに確保しているが、折り紙システムやアートアセット、カットシーンなど、ゲームのさらなるクオリティアップに、Figで得られた資金を使いたいとのこと。20ドル(約2200円)以上を出資すれば、初期目標金額に達した場合に本作を入手できる。対象プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PlayStation 4/Xbox Oneで、2019年のバレンタインデー(2月14日)に発売予定だ