発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第547回目は『AKANE』を紹介する。
ブラジルに拠点を置くインディースタジオLudic Studiosが、サイバーパンク・アクションゲーム『AKANE』を現在開発中だ。主人公は、野良犬同然の姿でとある道場の門を叩いた女の子Akane(朱音)。幼いながら何らかの大きな宿命を背負う彼女は、この道場を率いる石川を師と仰ぎ厳しい修行を積むことになる。それから数年の時が流れた2121年、一人前になったAkaneはひとりメガトーキョーへと向かう。
猥雑で退廃的な雰囲気漂う未来都市メガトーキョーは、雨に濡れ、色とりどりのネオンが照り返している。Akaneは、この場所で死ぬ覚悟でいる。しかし、それはヤクザどもをすべて道連れにしてからだ。本作は、ステージに次々に現れるヤクザを薙ぎ倒していく見下ろし型視点のアクションゲームで、Akaneもヤクザも攻撃が1回当たれば死ぬという緊張感のあるスタイルとなっている。ゲームはどのように進行するのかは不明だが、マップ内を先へ先へと進んでいくというよりも、一定区画のステージ内で戦うことになるようだ。
Akaneは刀と銃を武器とし、ステージを駆け回りながらヤクザを倒していく。ヤクザもまた刀を持つ者や銃を撃ってくる者がおり、銃弾は刀での防御姿勢で弾き返すことができるようだ。敵を倒すごとに画面下のゲージが徐々に溜まっていき、一定量溜めると必殺技を繰り出せる。映像では任意の場所まで一気にダッシュし、その間にいる敵をまとめて瞬殺するDragon Slashや、満タンのゲージをすべて消費し、時間が止まったなか画面内に自由に描いた軌跡でダッシュ攻撃するDragon Slashの上位版のような技が披露されている。
ゲームを進める中ではさまざまな刀と銃を入手でき、装備を入れ替えることができる。刀はその長さによってリーチが異なるほか、攻撃ボタンをホールドすることで特殊攻撃を繰り出せる。たとえば360度攻撃できるスピンアタックや、一定距離に投げつけることができるものなどがあり、投げつけた場合は回収するまでは刀を失ったままとなってしまう。一方の銃は、リボルバーやマシンガン、ショットガンなどがあり、それぞれダメージ量や装弾数、連射性能が異なる。そのほか、Perkとして機能するタバコや、ブーツ、ガジェットなどの装備項目もあり、これらをプレイスタイルに合わせてカスタマイズし、自分だけのAkaneを作り出すのだ。
Akaneという主人公の名や舞台となるメガトーキョー、そして(いろいろおかしい)日本語の看板の数々など、日本人としては本作が生まれた背景が気になるところである。開発元Ludic StudiosのプロデューサーJoel Hamon氏に話をうかがったところ、本作に登場するキャラクターのコンセプトについては、黒澤明監督の映画「七人の侍」や「用心棒」のほか、「AKIRA」「NARUTO –ナルト–」「るろうに剣心」「サムライチャンプルー」といった日本のアニメ作品や、「キル・ビル」「サムライジャック」「スター・ウォーズ クローン大戦」などのアメリカの作品から影響を受けて制作されているとのこと。そしてゲームではヤクザと敵対することから、日本のヤクザの文化や刺青、またその意味について勉強して物語の背景を作っていったという。
Hamon氏は、本作について“サムライ・サイバーパンク”だと述べており、刀を使った大量の血が飛び散るバイオレンスなバトルや、侍映画をイメージしたシーンの数々を、未来の裏世界らしい雰囲気と、煌々と輝く色使いとを組み合わせることで表現している。また、ステージに大量に登場する敵にもこだわりがあり、よりリアルに感じられるよう、かなり多くのバリエーションの敵を制作し、死に際のアニメーションもドラマチックに見せる工夫が取り入れられている。さらに、プレイヤーを追う際もただ後をついて回るのではなく、状況に応じて離散するなど知的な行動を取るようデザインされているとのことだ。
『AKANE』は、PC/Mac/Linux向けに今年7月発売予定。SteamのストアページにはCEROマークが付いているが、Hamon氏はコンソール向けにもいずれ発売したいとコメントしており、日本でも発売されることが期待される。