睡魔と戦う疲れきった男の奮闘アクション『Yet Another Exhausting Day』開発中。『Candleman』開発者の新作

中国・北京に拠点を置くインディースタジオSpotlightor Interactiveが、“這って進む3Dアクションゲーム”なる『Yet Another Exhausting Day』を現在開発中だ。「寝てはいけない男」を導いていく奇妙な作品になるという。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第546回目は『Yet Another Exhausting Day』を紹介する。

中国・北京に拠点を置くインディースタジオSpotlightor Interactiveが、“這って進む3Dアクションゲーム”なる『Yet Another Exhausting Day』を現在開発中だ。同スタジオは、10秒間だけ灯をともすことができるロウソクが主人公の『Candleman(キャンドルちゃん)』の開発元で、同作で見せたユニークな要素が、「またまた疲労困ぱいの一日」と名付けられたこの作品にも取り入れられているようである。

本作の主人公は、とある男。極限まで疲れきっており、もしベッドに入れば一瞬で夢の中という状態だ。しかし、もうすぐ仕事から帰ってくる妻のために、食事とビール、そしてゲームを用意しておいてあげたいため、まだ寝てはいけない。本作は、そんな睡魔と戦う男の奮闘記である。まずは、開発中のビルドの映像をご覧いただこう。

もう立って歩くことすらできずイモムシ状態である。プレイヤーは這ったり転がったりしながらステージである家の中を進み、目的達成を目指す。しかし、彼は眠い。このままではいずれ眠りに落ちてしまうため、眠気を覚ましながらステージを進む必要がある。家の中には花瓶やランプ、写真立てなどのアイテムが設置されているので、それらを破壊して痛みで眠気を覚ましながら進むのだ。また、置かれている飲み物を飲むことも眠気覚ましの効果がある。

プレイヤーは床だけでなく、壁や家具の側面など平面がある部分であれば、まるで重力があるかのように吸い付いて這うことができる。またステージ自体も多面体の上に構成されており、重力の方向が異なる面から面へと展開していくのが特徴的だ。プレイヤーはこのようなステージを眠気を覚ましながら進んでいくが、ステージ内には枕やマットレスといった強敵があちこちに配置されている。すぐにでも眠りたい人が、枕に顔を埋めればどうなるかは言うまでもない。うっかり触れないように注意しながらステージを進むことが、本作のゲームプレイにおけるポイントになりそうだ。

本作は、ゲームジャムイベントLudum Dareへの出品作がベースになっており、その時に指定されたテーマは「Running out of Power(パワー切れ)」。開発元Spotlightor Interactiveにうかがったところ、このテーマを聞いた時に、俳優の葛優(グォ・ヨウ)氏がテレビドラマで見せた1シーンが思い浮かんだという。それはソファにぐたっと座り込んだ姿で、あまりに覇気のない様子が面白いと「葛优躺(横たわるグォ・ヨウ)」と名付けられ、中国では真似をしてSNSにアップする人が続出するなどちょっとした流行になったそうだ。

また、数年前にインターネットで見たという、中学生がイモムシのように教室内を這いながら、窓から廊下に出て行くというストップモーションアニメのことも思い出し、これら2つのアイデアを組み合わせることを思いつく。Ludum Dareへの出品作はユーモア部門で1位、全体で9位に輝く素晴らしい結果を得ることとなり、さらに開発を進める運びとなった。なお、出品作はitch.ioにて無料配布されている。

『Yet Another Exhausting Day』の開発状況としては、現時点では上のトレイラーで見られるステージ1つのみと、まだまだ初期の段階だそうだ。そのため、この映像だけですべてを判断する訳にはいかないが、這って進む男のアニメーションや、スーっと眠りへと“落下”していく様子は見ていて面白い。また、普通の家のようでそうでない奇妙な世界観もユニークである。本作は、PCとコンソール、モバイル向けのマルチプラットフォームを想定しており、今年中にはリリースしたいとのこと。また、たとえば最初はシングルプレイモードのみで発売し、その後にコンテンツを追加していくような形での展開も検討しているとのことだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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